第3章 リーザス陥落
第38話 仕事は早い者勝ち
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ユーリは前にどんどん進んでいくランスを見ながら苦笑いをした。確かに、レベル自体は恐らくはこの場のメンバーの中で最弱だろう。……が、それだけでは、計れないものをあの男は持ってるのだから。ユーリはこれまでの冒険者としての経験から、様々な戦士や兵士、そして冒険者、同業者も見てきている。……だが、ランスはその中でも、特段に違う。かなりの変わり種だ。……色んな意味で。
とりあえず、深く考えるのは止めて、ユーリはランスに続いて武器屋を目指していた時に視線に気が付いた。
「………」
その視線の主はどうやら直ぐ横にいる少女からだ。
「……?? ほんと どーしたんだよ。かなみ。さっきから」
確か、ランスの家でもこんな感じで悲しそうな、怒っているような表情をしていた彼女がいた。ユーリはそれを思い出していた。
「い、いえ……何でも在りませんよ?」
「……リーザスが心配なのは判るが、落ち着け。きっと、大丈夫だ」
そう言うと、軽くかなみの肩を叩いた。ユーリは、挙動不審気味であり、表情も険しくさせている、悲しそうにさせているかなみを見て、そう判断したようだ。つまり、リアたちを見捨ててしまったと思ってしまったであろう自責。
そして、どことなく険しい、怒っているのは、ヘルマン軍に対しての感情。
……それらがまるで無いとは言えないけれど、当然かなみがこの時に強く考えてしまったのは、別の事なのである。
「(……うぅ、ランスが、負けたらお預けって事は……ユーリさん、本当は……)」
かなみはそれを考えてしまっていたんだ。
ユーリの事は、あったら多分、皆十中八九は、お顔の特徴に目が奪われてしまう?だろうと思える。だけど……彼に救われたら?戦っている所を見たら?……どうも思わないと言えるだろうか?
「ほら、行くぞ。必要だろう?」
「ッ、はぅい!!」
かなみは裏返ったような声を出すと足早にユーリの横に並んだ。
かなみは、色んな思考を張り巡らせていたが、今は隣に立てているのは自分だと思えた。ランスの隣はシィルが、ユーリの隣は自分が。間違いなくその構図。
「(……ずっと、隣にいれたらどれだけ……)」
かなみは、そう 思いながらユーリと歩幅を合わせて歩いていた。
……それは、不確実であり、正直な所 現実味が無い。儚い夢なのだと言うこと……かなみはこの時、本気では考えてもいなかった。
そして、一向はアイスの町の武器屋へと到着した。
そんなに遠くないのに、なぜこんなに時間が?とも思えるが、とりあえずスルーをしよう。
「がははは! この武器屋にはレンチちゃんが店番をしてるからな! さっさと入るぞ!」
「相変わらず、見てるところはそこか」
「うるさ
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