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逆さの砂時計
静謐の泉
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ットを外側へ向けてみる。
 二人は恐る恐る顔を出し、辺りをキョロキョロと見渡した。

「……泉の前まで……行ってみても、良い?」

 異変は無いと判断したのか、リーフが泉を指して自分を見上げる。

「手のひらに移りましょうか。そのほうが広く見えるでしょう」

 万が一レゾネクトが突然現れても、精霊族は小指より小さい。
 花に紛れさせてしまえば、見つかる可能性は低いだろう。
 教会でされたように、雷で撃たれてはどうしようもないが。
 あれは多分、そうそう放ってこないと思う。
 彼なら獲物を一気に始末するより、少しずついたぶるほうを好みそうだ。
 二度対面した結果受けた印象なので、明確な根拠は無い。

「……うん」

 震えるふたりを右手に乗せ、できる限り花を踏んだり折ったりしないよう気を付けながら、泉の半歩手前まで歩み寄る。

「『鏡』ですね、確かに」

 ほとんど風が無いからか。
 水面は周りの景色を歪ませず、そのままの形を映している。
 水底を見下ろした自分の顔が、不思議そうに自分を見つめ返した。

「降ろして、クロス」

 リースが指先から落ちそうな勢いで泉を覗き込むので、慌てて膝を突いて地面に下ろす。
 ふたりは ととと……っと泉に走り寄り、水に手を入れて。

「良かった。荒らされてない」

 両手で掬った水を口に含む。
 力無く垂れていた羽根がピンと立って、ふたりは同時に翔び上がった。

「元気になれましたか?」
「うん。もう大丈夫」
「私達は泉の水に命を分けてもらったから。泉の傍に居る限り死なないわ」
「良かったです」

 自分の周りを嬉しそうに、くるくる翔び回って。
 ふと、暗い表情で宙に静止する。

「もしかして、リオが気になっているのですか?」
「ん……。リオルカーンだけじゃなくて、皆。私達は運良くクロスツェルやマクバレン達に助けられたけど……全員がうまくいく筈ないもの。すごく、くやしい」

 『悲しい』のではなく、『くやしい』と涙を零す小さな精霊達。
 神々に使役されている間は、戦う術があったのだろう。
 でも今、神々はいない。
 戦う力や術を失っていては、護れるものも護れない。
 それが、どれだけもどかしいことか。
 元々力など持っていなかった自分には、推し量るのも難しい。

「状況はそれぞれ異なっているでしょう。けれど貴女達は今、こうして泉へ帰還を果たし、結果として生き延びた。他の方々も、まだ辿り着けていないだけで、こちらに向かっているかも知れません。今度は貴女達が、貴女達を必要とする誰かを救う番ではありませんか?」

 ハッと顔を上げて自分を見つめる精霊達に、そっと微笑む。

「遠くじゃなくて良い。もしかしたらすぐ近くま
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