第八十四話
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のだろうが……少し大仰すぎやしないか、とは思ってしまう。
安岐さんが心音等のチェックの為に椅子に座り、俺とキリトは銃と硝煙の世界に意識を移行させていく……
……そしてログインした際の不快な感覚に顔をしかめながらも、前回ログアウトした総督府へと再び帰還する。一大イベントの決勝ということか、GGOの中もかなりの大盛況を見せており、中には参加者である自分に応援の声をかけてくる者もいた。
それらを適当にあしらいながら、同じ建物にログインしたキリトのことを探していると、見覚えのある水色の髪型の方を先に見つけていた。
「シノン!」
「…………」
Eブロックでキリトに敗れて準優勝となった彼女だったが、俺と同じくBoB本戦へと出場することが出来ていた。二回戦でピースと戦う直前に、ただ棒立ちで勝てるわけがない――という旨のアドバイスを受けた返礼をしようと話しかけていくと、相変わらず冷静な視線が俺に向けられた。
「まずは本戦出場おめでとう、って言っておくわ。まさか勝ち上がってくるとは思わなかったけど」
「おかげさまで。そっちこそ――」
――おめでとう、と言おうとして慌てて口を閉ざす。キリトに予選で負けたのを気にしているのか、冷めた視線がさらに鋭く研ぎすまされたため、やぶ蛇を踏んだと顔を逸らす。睨まれていることを自覚しながら髪をいじくっていると、シノンが溜め息混じりで声をかけていた。
「……あなたも準優勝だったらしいわね。あの踊り子に負けて」
「まあ……な」
仕返しのつもりか。現実ではどれくらいの年齢か知らないが、案外子供っぽいことをする……と心中で考えながら、どう言い返してやるか、キリトから聞いた話を元に思索を巡らしていると――あまり人のことは言えない――その前にシノンが話しかけてきた。
「あいつは一緒じゃないの?」
「あいつ……ああ、キリトか。一緒に来てたんだが」
同じく総督府にログインしているため、あまり離れてはいないはずなのだが。改めて辺りを見渡してみるものの、賭けをしているプレイヤーや見物客などが大多数で、背丈が小さい少女となっているキリトは見つけられない。幸か不幸か、俺のような芸者のようなアバターは背丈があるので、あちらから見つけてくれるとありがたいのだが。そう思っていると、男性プレイヤーの一団がいた場所から突如として歓声がわき、そこから滝を割るように人が別れると、黒髪の少女――キリトがニコニコと、男性プレイヤーに笑顔を振りまきながら歩いてきた。
「ショウキ! ……あ、シノンも一緒だったのか?」
予想以上に悪目立ちしながら登場するキリトに頭を抱えながら、とりあえずシノンとともにキリトの手を引っ張ると、他のプレイヤーがいない場所へ向かう。ああも囲まれ
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