暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第37話 封印の鍵を求めて
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の仕事とは違い、今回の事件は規模がでか過ぎるのだと言うのが最大の理由だ。

「判ってくれ。流石に、今回ばかりは危険すぎるんだ。一緒に連れてはいけない。行く場所は戦場に等しいんだ」
「うぅ……、私邪魔なの……っ?」

 ユーリの言葉を訊いて、ヒトミは悲しそうな表情をしていた。確かに、ヒトミ自身も事の大きさは理解しているつもりだ。女の子モンスターだ。……魔人の脅威も十分に知ってるんだ。
 でも、それ以上に怖いのは……《お兄ちゃん》を失ってしまうんじゃないかと言う事だった。

「ヒトミの事を心配に想っても、邪魔なんて想うわけ無いだろう? ……ヒトミには《家》を守ってて欲しいんだ。オレが帰ってくる大切な場所だからな。……必ず帰ってくる」

 ユーリは軽く家の床を叩くとそう言って笑っていた。

 ヒトミが本当に心配している事を理解していたようだ。……本当に優しいんだとヒトミは想うと。

「うん……。判った。お兄ちゃんのお家は任せて! しっかりと守るっ! ……だから」

 ヒトミはユーリに小指を向けた。

「絶対に帰ってきてね……、絶対だよ?」
「ああ。約束する」

 ユーリのその小指を絡ませた。帰ってくる場所なのだからと、ユーリはヒトミに強く誓った。




 そして、ランスの家へと向かう道中。

「あの……」
「ん?」

 かなみはユーリに聞きたい事があったのだ。それは勿論、さっきの女の子。玄関から外に出て、姿が見えなくなるまでずっと手を振っていた。とても可愛らしく、理想の妹だなとも思えたけれど……よくよく見てみると。

「あのコは、その……幸福きゃんきゃんですか?」
「ああ、そうだよ」
「うぇっ!? ほ、本当だったんだっ!? な、なんで女の子モンスターがユーリさんの……? それも幸福きゃんきゃんっ!?」

 かなみは、また驚き声を上げていた。
 モンスターである事、それも希少種であり 経験値を大量にくれる幸福きゃんきゃん。驚きの事実が一気に大量に迫ってきた気分だ。

「ああ、説明するよ。だから、ヒトミの事を、狙うような真似はしないでくれよ?」
「し、しませんよっ。だって、ユーリさんを慕ってるんですし、それに私の事も助けてくれたんですから……」

 かなみはそう答えた。
 幸福きゃんきゃんと言えば出会えた事自体が幸運。出会えた以上は倒して経験値!というのが一般常識だからだ。その愛らしさから、そこまで手荒な事はしたくないと想うけど。

 その後はヒトミとの出会いをかなみに説明をした。
 マルグリッドの迷宮深くに潜っていた事実も驚きだったけれど、前世の記憶を保持したまま女の子モンスターになったと聞いたことも驚きだった。その境遇は……可哀想の一言では片付けれないほど凄惨なものだと
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