第3章 リーザス陥落
第37話 封印の鍵を求めて
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た。
――……お兄ちゃんと言うことは、兄と一緒に住んでいるのだろうか?
かなみはそう思っていた。
ならば、あの光景は幻だったのだろうか……と、今もかなみは思う。夢だったのはわかる。だけど、思うのはその夢の更に前のもの。確かに見た。探していた、求めてさえいた人が目の前にいたあの光景を。
「(気のせい……だったのかな。でも、それでも会いに行かなきゃいけないから。ユーリさんとランスに……、助けてくれた人にお礼を言って直ぐにいかないと)」
かなみはそう思うと、身体の状態を確認した。怪我は包帯を巻かれており、とりあえずは問題ないようだ。どうやら、あの時に倒れてしまったのは極度の疲労、そして勿論、負傷からきた様だと冷静に分析をする事が出来た。
そして、女の子が出て行った方から気配を感じた。
多分、彼女の兄だろうとお礼を言おうと立ちあがろうとした時だ。
「まだ、無理するな。治療は出来る範囲はもう済ましたが、まだ身体は全快と言う訳じゃないだからな」
「えっ……」
声が、聞こえた。その声は間違いない。幻じゃない。
「ユー……リさん?」
「大丈夫か? かなみ。一体、何があったんだ?」
目の前にいたのはあの人だった。会いたかった人……だったんだ。
「ッ……」
かなみは思わずユーリの身体に飛び込んだ。
「おっ……とと、どうしたんだ? かなみ!」
飛び込んできた彼女を、ユーリは抱きとめる。かなみは、ただただユーリの胸の中で嗚咽を漏らしていた。
「わっ!……(お兄ちゃん……やっぱし……)」
ヒトミは抱きついている女の人とユーリの両方を見ながら思っていた。……何を? なのかはヒトミだけの秘密だ。
そして暫く、泣き続ける彼女を介抱した後。事の顛末をかなみから聞いた。
「す、すみません。ユーリさん。取り乱してしまって……」
「いや……、構わない。そんな事が合ったんだからな。無理も無いだろう」
ユーリは腕を組んでいた。
あのかなみの刀の鞘が壊れたのはこの事を示していたのだろうか? 偶然とは思えなかったが、とりあえず 一国の危機だと言う事をさしていたと解釈をした。
「ヘルマン軍が」
「はい……。昨日の深夜。目測でも万は優に超えている程の数の兵の侵入を許してしまい……、リーザスは陥落したんです」
「………」
それ程の数の兵を誰にも気づかれないように、城内へと侵入させる事など出来るのだろうか?ユーリが当初考えていた事はそこでもあった。リーザスとヘルマンには地形的な問題もあるのだ。
その国境に高々と聳えるバラオ山脈もある為大規模な事は易々と出来るわけもない。だが、かなみの説明の中で確信する事はある。
「
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