第3章 リーザス陥落
第36話 真夜中の魔の手
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「そんな……!? あの2人が……」
「リックも……」
リアはその言葉に耳を疑った。リーザス軍の中でNo.1、2を誇る戦士が破られてしまったのだから。
かなみは、親友が倒れていく姿を目の当たりにしている。でも、行けなかった。この事態を伝えなければいけないから、行けなかったんだ。……そして、あの得体の知れない術に飛び込んでも勝機がまるでなかったから。
「レイラさんは、親衛隊を率いて防戦してくれていました。ですが、妙な能力を使う男が現れて……、 あの男は恐らく魔人かと思われます。敵兵が言っていたのを聞きました」
「なっ!?」
「ま、魔人と……??」
かなみの報告に耳を疑う。
魔人と言うのは人類の敵でしかない。それはヘルマンでも同じ事だと言えるだろう。その人類の敵である魔人がヘルマンと手を組んだと言うのだ。ならば、利害が一致したと言う事になるだろう。
「マリス……奴等の狙いは」
「はい。目的はカオスだと思われます、いえ……間違いないでしょう」
「……マリス。聖盾を」
リアはマリスに命じて、王家に伝わる盾をここへと持ってこさせた。この時の彼女の表情は何かを決意した表情へと変わっていた。不安に震える少女のそれではなく、一国の女王としての顔に。
その表情にかなみは不安が頭の中を過ぎっていた。マリスも同様だ。
「お持ちしました」
「かなみ」
マリスが盾を持ってきたその時。かなみの方を向いた。かなみは、自身が思い浮かべていた不安がなんだったのか……知る事になる。
「貴女だけでも、この白から脱出しなさい。忍者である貴女なら抜ける事だって出来る筈です」
「なっ……!?」
そう、主君を置いて自分だけ逃げろと言う指示だった。誰からも認められる、仕える主からも認められる、あの人にも認められる忠臣を目指していた彼女からしたら……耐え難い命令だった。
「そ、そんなの、そんな事出来ませんッ、わ、私は誓ったんです。忠臣になるって……リア様の忠臣にッ」
「……かなみ」
マリスは、今に泣きそうになっている彼女の肩を?んだ。そして、リアもゆっくりと立ち上がる。
「ただ逃げろと言ってる訳ではないの。貴女にはランス様の下へ言ってこの事を知らせて欲しい。そして貴女が信じていて、そして心の拠り所になってる人の元にも。……私からしたらランス様かしらね。……ユーリ様にも協力を要請して。もう、奴等を止められるのは、リーザスを救えるのは彼らしかいないから」
リアはそう言う。
いつもの口調じゃなく、ランスの事もダーリンと呼ばない。女として助けを呼ぶのではなく一国の女王として、国の命運を憂う女王の表情。そして、かなみの不安を少しでも取り除こうとする優しい言葉も。この命令を無視でもすれば最早
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