暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第179話 右手の悪夢
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 その瞬間、何かに亀裂が入る様な音がした。そして、見る見る内に表情が、僅かに緩んでいた表情が……無表情へと変貌していった。

「うう〜ん……、さっきのもう1回……って、言ったら流石にセクハラだな。止めとこ。 あ、おねーさん。これ終わったらフレンど……に……?」

 次にPainがリュウキを見た時、思わず息をのんだ。仮想世界だと言うのに、冷や汗が体中から湧き出てくるかの様に感じる。

 何故ならゴツッ と眉間に銀色に輝く銃を押し付けられたからだ。表情は、無い。……まるで『無』と言えるモノ。

 因みにリュウキのデザートイーグルは、グリップの滑り止め部分のみが黒でコーディネートされたシルバータイプ。……お気に入りの色の銃を今大会初めて撃つ、と言う様な感想などはまるでない。

 ただ、そのまま、無表情で銃口を押し付けていた。思わず両手を更に高くあげる。

「ひ、ひぇ! わ、悪かったって、セクハラはまじで冗談冗談! 間違ったって、もう一回なんていわねえよ! ね。お嬢ちゃん!」
「………」

 彼が恐怖から逃れる術は、あった。

 もう形振り構わず、直ぐに降参(リザイン)と叫べばよかったのだ。だけど……それを怠って、更に続きをいうから不幸に見舞われる。

「お、お詫びに、なんか、おごってやるから! 上手いパフェとかっ! それに ほ、ほら! そんな顔してちゃ、可愛い顔がdずがぁぁんっ!!≠ョべっ!!」

 密着状態から撃ち放たれるのは、最凶のプレイヤーから放たれる最悪の銃弾《50AE弾》。

 実用自動拳銃用、拳銃弾としては最高クラスの威力を誇る50口径マグナム弾だ。まるで、ど頭を巨大ハンマーで、ぶっ叩かれたかの様にすっ飛んでいくPain。ごろごろ〜っと倒れると、その身体にアイコンが現れた。
 《DEAD》と言うアイコンが浮かんだ。

「……次からは問答無用で終わらす。俺が間違ってた」

 左手のナイフを胸にある鞘に。
 右手の銃を右腰のホルスターに収めた。

 そして、このステージの上空に《Congratulations!! RYUKI Wins!》と言う勝利を祝福する文字が浮かんだ。

 リュウキといえど、大会と言う名の付く戦いで、それが例え1回戦でも、決勝でも。等しく勝てば嬉しいし、ほっともする。

 だけど、その勝利を祝福する文字が大々的に表示されても……、まるで達成感や突破した事による安堵、などは浮かんでこない。ただただ、さっきより数倍重くなった脚をしっかりと動かし、『さっさと転送しろ』とだけ思っているのだった。







〜総督府・予選会場〜


 それは丁度、リュウキが男を只管投げ続けていた時の事。キリトは既に1回戦を突破していた。別に、突破の速度で競
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