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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第179話 右手の悪夢
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力を誇る自動拳銃(オートマチック)だ。ここまで近接されてしまえば、最早抗う術は無いだろう。と言うより、相手には銃弾が当たらないし、動けないから、その時点で詰みだ。

「……これは、予選だぞ。問答無用で殺りゃよかったモノを」
「ああ、夜戦だからな。……いろいろと試したかっただけだ。 生き恥晒したくないなら、望み通りにするが?」
「っとと、いやいや、至近距離で銃弾ぶっ放なされんのは流石に怖ぇよ……」

 Painはそうそうに両手をあげて降伏のポーズを取った。
 因みに、この世界では上空に響くかの様な大きな声で、『降参(リザイン)』と言わなければ、勝負は終わっていないと言う事になる。だから、まだ、だましうちの類も考えられるのだが……それは、二流、三流がする事だ。仮に、男がまだ肩にぶら下がげているトミーガンを構え、撃とうとしても、先に無力化する事は出来る。……と、言うより、そんな真似してきたら、即ズドンだ。脳天めがけて。

「……つえぇな、あんた。たまげたぜ」
「お前がまだまだだ、と言うだけだ。 姿見ただけで安心するな。 有利なソレを持ってるからといって、慢心した。それが敗因の1つ。……でかいな」

 リュウキが指さしたのは、まだ頭の上に装着されていた暗視ゴーグル。夜の闇の中では確かに絶大な力を発揮する。相手には見えないが、自分にはよく見える。気づかれずに、初撃を入れられる可能性が極めて高いからだ。

「オレの姿、見えてたのか……。夜戦だっていうのに、なんの装備もなく」
「人が森や林を歩けば、葉は揺らぐ。……空気も変わる。状況が変わる。一つ一つを見極めれば訳はない」
「……いや、ムチャだろ?」

 流石にそれは嘘だ、と思った様だ。本気にはせず、ただただ苦笑いだけを続けていた。

「だが、良い思い出になった」

 Painはそう言って笑っていた。

「……まぁ、負けも糧になるからな。次、頑張ればいい」

 リュウキはそういい、笑っていた。……笑った事を後悔する事も知らずに。

「いや、あんた見てぇな美人な女の子と一戦ヤれた事にだよ。こんな機会、滅多にねぇし シノンちゃんも可愛いが……正直近づく前に終わる事が多いから」

 首をぶんぶん、と振ってそう言うPain。プライドもへったくれもない様だ。負けたと言うのに。

「いやぁ、でも女の子が男の頭を太腿で挟んで〜なんて、やめといた方がいいんじゃね? ……って、今思えば……アレだな。役得感が……」

 Painは思い出したのか、顔を緩めていた。
 肩車の様に飛びついたから、結構脚の根本の方で挟み込んでいる。……シノンの様な装備であれば、更に喜び倍増! しそうなシチュエーションだ。なんだけど、それどころではない。

ぴしっ!!
「………」


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