夢幻界の断片
ヤーンの翼
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「これはまた、丁寧な御挨拶を頂戴しました。
貴方は、私の事を御存知であられる様ですね?
失礼ながら、何時、お会いしたか思い出せません。
御褒めの言葉を賜り、誠に恐縮です」
「君は我輩の事を知らなくて当然だね、何も失礼な事は無いと保障するよ。
我々の経てきた異次元や時空間は、君の世界と交差しておらぬのだからね」
今度は期待に応えられたと見え、相手の緊張が緩んだ。
相手は自分の事を何処まで知っているのか、慎重に探る。
「貴方は私より遙かに多くの事を御存知の様ですが、私は貴方の世界について全くの無知です。
想像を遥かに超えた科学を有する世界と御見受けしました、心底より脱帽致します。
盟友ヴァレリウスが大導師アグリッパと対面した際も、此の様な心持となったのでしょうか。
私とは到底比較にならぬ優れた知性を御持ちの賢者様に是非、教えを乞いたいものです」
眼鏡の奥で瞳が煌き、緊張が解けた。
(雄介と話すより、遥かに面白い。
何者か解らんが、存分に楽しめそうだ)
喉の下を撫でられ、ゴロゴロと鳴く猫の様に表情が緩む。
「当然だよ、ワトソン君。
いや失敬、中原を護り怒涛の流血大河を遮る者アルド・ナリス君。
君の頭脳、知性であれば理解可能であろう。
我輩の明智を披露して進ぜよう、何から聞きたいかね?」
世界生成の秘密、では曖昧模糊に過ぎる。
ヤンダル・ゾック、いや、グインの方が興味深い。
「そうですね、豹頭王について何か御存知ですか?」
さて、どんな答えが返ってくるか?
(馬鹿正直に答えるのは、芸が無いな。
グラチウス準拠の御託宣で韜晦を装い、失望させてから盛り上げるか)
「我輩に知らん事は無い、とは言わんがね。
パロ聖王家の真珠2粒を救った恩人、『一匹の豹が現れ世界を護る』卦は知っとるさ。
ルードの森に現れ数々の冒険を経て、ケイロニア王となった。
星々のエネルギーを秘め、古代機械も操る豹頭の追放者だろう?
キタイ簒奪者の竜王、ノスフェラス最強の魔物に唯一対抗し得る英雄かもしれん」
ヴァレリウス経由で得た解説、情報から類推可能な事柄ではないか。
反応を窺い興醒め、失望の表情を露骨に顕す。
「大導師アグリッパ、世界三大魔導師の筆頭に優るとも劣らぬ御明察ですね。
問題は彼が、何故、何処から来たか、なのですが」
予想に反し、相手は身を乗り出した。
(これは面白い、実に退屈せんな!
では、楽しませて貰うとするか)
煙水晶の様な瞳が煌き、心の奥底まで覗き込む。
妙に既視感を誘う錯覚、狼狽と戦慄が背筋を貫く。
「ランドックとは惑星ラクラジル、銀河系第1帝国首都の異称かもしれん。
ファイファ・システム、特A級の表
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