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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第176話 BoB前哨線・バギーレース
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があれば話は別だ。
最短で、最速にその障害物を交わせば、タイムロスをした方が、速度も落ちて、タイム?も縮むのだ。
「げっ、マジかよ!!」
サイドミラーで、リュウキのバギーを視認したキリトは驚いた。カーチェイスだ、と言う事で、ややリュウキが遅れ気味だったのだが、もう殆ど並ぶ距離にまで迫られている。
「ほーら! あなたも負けるなー!」
「聞こえないって……」
本当の並走走行になった所で、彼女はキリトに向かって拳を振り上げた。これだけの速度の中、並列とは言え、空気を切る音が凄まじくて、キリトに聞こえる訳がない、と思ったリュウキは、そう言うが、キリトは、彼女がした動作で大体把握した様だ。
「負けるかっ!」
ニヤッ! と笑いながら、再び前を行く大小の車両を追い抜いていった。
「ほらっ! あなたもっ! 負けるなーっ!」
「……はいはい、仰せのままに。 お姫様」
子供の様にはしゃぎ、要求してくる彼女に答える様に、ハンドルを滑らせた。
お姫様と呼ばれて多少赤くなり、『あなたの方がっ』と言い返したかったが、こんな超高難易度であるバギーを乗り回すじゃじゃ馬姫はあまり考えたくなかったから、口を噤んだ。何よりも、今はそれよりも感じる事があるから。
――心も身体も軽い。……風になった気がする!
少女は、そう感じ、思ったのだ。
髪が風になびき、頬を当たる風だって、何処か心地いい。現実で、こんな速度だったら、凄まじい風で、それどころじゃないと思えるけど、そこは、ゲームの世界。STRがそれなりに高かったら、十分堪えられるし、残るのは心地よさだけ。恐怖心はある程度なれてないとあると思われるが、それは最初からなかった。こんな気持ちいいのは初めてだったから。
――……きっと、現実でもこんなふうになれる。強さを手に入れたら……、きっとなれる。
この時、彼女は心の何処かでそう想っていた。
――ずっと、周囲の全てが敵とまで思ってきたのに、今日の自分は本当に矛盾だらけだ。いや、やっぱり別人なのかな。今の自分と向こうの自分は。
そうも思えるけど、不思議と心地よかった。エントリーをするまでに残された時間は2分を切っていたが、この速度であれば例え3kmあったとしても、数十秒で駆け抜ける事が出来る。
たった数秒間の体験だけど……、心行くまで彼女は楽しんでいた。
そして、ものの数十秒程で総督府へと続く広い階段手前に到着。
どうやら、競い合う様にバギーを飛ばした為、思った時間よりも更に早く着いた様だ。
「ぐむっ……」
キリトは、この時苦虫を噛み潰した様な表情になっていた。一応、自分の外見に気を使ったのか? 幸いにも汚らしい言葉使いは飲み込み、
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