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ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第176話 BoB前哨線・バギーレース
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て……」
少女の願いが、横で微かに響く。
それを聞いただけで、彼女がこのBoBに掛ける想いが高い事がはっきりと判った。
悪く言えば、この大会は殺戮の大会だ。
だけど、そんな世界でも、強い想いがあり、単なるゲームプレイ以上に大きな、重要な意味を持っているのだろう。
「キリトッ」
「……っ! ああ! 成る程、判った!」
リュウキがキリトに声をかけ、そして指をさした。その場所を見たキリトは何を意図するのか判った様で頷いた。
「……失礼」
「え? ひゃっ!!」
リュウキは、隣を走る少女の手を引き、そして抱え上げた。丁度お姫様だっこの要領で。
「ちょ、ちょっと! こんな時に何をっ…」
「舌、噛むなよ!」
そう言うと、左脇に向かって飛んだ。その場所は車道の駐車スペース。
大きな看板が立てかけられており、ぴかぴか瞬くネオンサインで、《Rent-A-Buggy!》の文字がある。走っている途中、その目立つ看板のおかげでそれをみる事が出来たのだ。
この世界の唯一の移動手段の事を。
そこに並んでいるマシンは全て、前に1つ、後ろに2つのタイヤを備えた3輪バギーだった。1番手前に停まるバギーにリュウキと彼女が、そしてその次のバギーにキリトが乗り込んだ。
このバギーはどうやら2人乗りであり、3人は乗車無理の様だったから。
まだ動転している彼女をよそに、メーターパネル下部に買い物の時と同様、同じ掌紋スキャン装置を右手を叩きつけた。まるで、レース前の様なサウンド、その精算サウンドはまるで秒読みしているかの様で、エンジンが完全にかかった途端に、2台の3輪バギーが前輪を浮かせながらはじかれたように車道へと飛び出した。
「きゃっ……!!」
リュウキの後ろで可愛らしい悲鳴が聞こえてくる。
「捕まってろ!」
更にそう叫びを入れるリュウキ。
路地をまるで焦がすような右ターンで車線に乗るや否や、アクセル全開。キリトがバギー半分くらい前にいるが、殆ど並走している様なモノだった。
「あ、あなた達 なんで!? このバギー、運転がめちゃくちゃ難しくて、 男の人でもまともに走れる人なんて、殆どいないのに……!!」
――……ああ、やっぱり、女だと思ってるんだな。喋り方とか完全に素にしてるんだけど。
リュウキは、彼女の言葉を聞きながらそう思う。
別に女装をするつもりも、なりすますつもりも無かったから、自分はいつも通りの喋り方をしていた。それでも、素性を明かさなかったのは別にある。同盟を組むにあたって、素性を彼女にバラす時は頃合を見る、と決めていた、と言う事があったからだ。それは勿論、キリトの提案である。理由の是非を聞こうと思ったが……、この手の話、対人関係は自分
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