暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
GGO編
第176話 BoB前哨線・バギーレース
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それは現在の時刻である。

「い、いや、もう14時超えちゃって後10分くらいで15時ですけど……、総督府に行かなくて大丈夫なんですか? えと、テレポート的移動手段があったり?」

 キリトがウィンドウに表示されている既存の時刻を確認しながらそう言った。それを聞いたリュウキは、『何だ、もうそんな時間か』と思い時間を自分でも見ようとした時。


「……あ」
「い、いけないっ! 話しすぎてた。う、うわっ よ、49分!? エントリー〆切まで間に合わないかもっ」
「ええっっ!!」


 クロノメーターを覗き込みながら、青ざめる少女。そして、キリトも同様だった。

「こ、この世界に転移アイテムや魔法……超能力みたいなのは?」
「は、走りながら説明するわ! 早く!」
「確かに、それはちょっと不味い」

 女の子は叫ぶと同時に身を翻し、大通を北に向かってダッシュ、次にリュウキも続いた。そして、キリトも急いで追いかけた。前を行く彼女とリュウキに追いつく事が出来た。

「……このGGOには、プレイヤーが起こせる瞬間移動現象はたった1つだけしかないの。死んで蘇生ポイントに戻る時だけ、グロッケン地区の蘇生ポイントは、総督府の近くだけど、街中じゃHPは絶対に減らないから、その手は絶対に使えない……」

 歩道を行き交うNPCプレイヤーの間を縫うように全力疾走しつつ、少女は解説した。2人とも追従をするのが精一杯だ、と思える程、横を走る少女の速度は凄まじかった。ステータスだけではなく、この世界を、フルダイブ環境下の動作を全て完全に習熟した身のこなしだろう。

 そしてリュウキは少しの期間とは言え、別アカウントでもこの世界にいた筈なのに、迂闊だった、と思わずにはいられなかった。

「総督府は、あそこ。市街の北の端だから、まだ3kmはある。エントリー操作に5分はかかるから、後3分で到着しないと……」

 まっすぐ伸びるメインストリートの先にみると、遥か彼方に夕日を受けて赤く輝くひときわ巨大なタワーが見えた。3kmを3分で走破するのは現実的に考えたら不可能だが、このVRMMOでの世界なら可能の範囲だ。だが、それは見通しの良いフィールド、障害物が全くなく、エンカウント、つまり敵の攻撃もないフィールドに限られるのだ。この直線上とは言え、人ごみの激しいメインストリートを3分で移動し切るのは、非常に厳しい。

 中でも、リュウキの表情はかなり強ばっていた。

 この世界で、ゲーム談義に花を咲かせるのはよくある事であり、時間を忘れてしまう事も多い。普段のリュウキであれば、時間きっちりしているリュウキには珍しい事だが……、リュウキだって人間だ。そうは言っても、話し込んでいたのは自分の責任がある、そう感じた。

「お願い、お願い……間に合っ
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