異国の大地 3
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私達は泉へ向かい、ひとまず途中に在る村を目指して一緒に行動する事になった。
本音では一刻も早く跳んで行きたいのだが、リース以外の精霊が同行しているとなれば放っておくのも躊躇われたからだ。
精霊についての情報を激しく求められながら進んで行けば、朝陽が木々の隙間に顔を覗かせる。
それが合図になったのか、箱の中の二人とポケットの中のリースが同時に目を覚ましたようだ。朝露を飲ませる為にリースを手のひらへと招き寄せれば、仲間の姿を見付けた精霊達と、何故かマクバレンさんが涙を流して喜び合う。
飛び込んだ箱の中で互いの肩を抱いて無事を確認した後、慌てて朝露を飲んで。落ち着きを取り戻してから、改めて再会を噛み締める。
同じ声、同じ笑顔が三つ。
眠っている時はどうやって個体を識別するのだろうと思っていたが、どうやら目の色が違うらしい。
リースは紅いが、マクバレンさんが連れて来た精霊はそれぞれ黄と碧だ。
道中、暫くは精霊同士で状況を語り合い……一段落した所でマクバレンさんに促され、自分達に挨拶してくれた。
「私はリオルカーン。リオで良いわ」
色鮮やかな花弁を思わせる黄の目がリオルカーン。
「私はリーフエラン。リーフで良いわ」
アリア村で見た海のような碧の目がリーフエラン。
「……リースリンデ。」
笑顔で箱を持つマクバレンさんを露骨に警戒しつつも、仕方なく名乗るリース。
……今までは人間の目の前に姿を見せなかったから、話の内容だけでそういうものかと思っていたのだが……なるほど。自分達以外だとこういう反応になるのか。
表情に出るだけでなく、全身から嫌悪と拒絶の気配を感じる。
「リースリンデ。リースですね! 良い名前です」
「やだ! 馴れ馴れしい!」
リオとリーフの背に隠れて、キラキラと瞳を輝かせるマクバレンさんから逃れるリース。彼に助けてもらった二人は、複雑な表情で彼女の頭を撫でる。
「大丈夫よリースリンデ。見るに堪えないほど物凄く醜いわけじゃないから。汚いけど」
「そうよ、リースリンデ。此処は研究室じゃないから……無遠慮にジロジロ見られる事と鬱陶しい会話の強要にさえ慣れれば、ひたすら汚いだけで害は無いわ。一応。今の所。」
擁護なのだろうか。貶しているのだろうか。
「私は毎日入浴してたんですけどね」
マクバレンさんが苦笑する。
多分、そういう意味では無いと思います。
「研究者の方々は、時として業務に没頭するあまり何日も室内に籠る事があると聞いていたのですが……身嗜みには気を使っているのですね」
「ええ。他の研究機関がどうかは知りませんが、生物学は多種多様な環境に生息する生き物に直接触れる分野ですからね。私達人間や多くの生命は多少の変化にも対応して生き残る術を持ち合
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