暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
異国の大地 3
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ばらくは精霊同士で状況を語り合い。
 一段落した後でマクバレンさんにうながされ、自分達に挨拶してくれた。

「私はリオルカーン。リオで良いわ」

 花弁を思わせる鮮やかな黄色の虹彩が、リオルカーン。

「私はリーフエラン。リーフで良いわ」

 アリア村で見た海のような碧色の虹彩が、リーフエラン。

「……リースリンデ」

 笑顔で箱を持つマクバレンさんを警戒しつつも、仕方なく名乗るリース。

 今まで、他人の前には姿を見せなかったから。
 ほんの少しだけ、本当に人間嫌いなのか? と疑問に思っていたのだが。
 なるほど。
 自分やベゼドラ以外が相手だと、こういう反応になるのか。
 表情だけでなく、全身から嫌悪と拒絶の気配を感じる。

「リースリンデ。リースですね! 良い名前です」
「やだ! 馴れ馴れしい!」

 リオとリーフの背に隠れて。
 キラキラと瞳を輝かせるマクバレンさんから逃げるリース。
 彼に助けてもらった精霊達は、複雑な表情で彼女の頭を撫でる。

「大丈夫よ、リース。見るに堪えないほど醜くはないから。汚いけど」
「そうよ、リース。無遠慮にジロジロ見られることと鬱陶しい会話の強要にさえ慣れれば、ひたすら汚いだけで害は無いわ。一応。今のところは」

 (かば)っているのだろうか。
 (けな)しているのだろうか。

「入浴は毎日してるんですけどね」

 マクバレンさんが苦笑する。
 多分、そういう意味ではないと思います。

「研究者の方々は、時として業務に没頭するあまり何日も室内に籠る場合があると聞いていたのですが。身だしなみには気を使っているのですね」
「ええ。他の研究機関がどうかは知りませんが、生物学は多種多様な環境に生息する生物達に直接触れる分野ですからね。私達人間や多くの種は多少の変化にも対応して生き残る術を持ち合わせてますが、中にはわずかな気温の変化で死んでしまうものもいます。元の環境に異物を一つ持ち込んだだけで周辺の生態系が崩れ、複数の種が絶えた実例もあります。なので種の保持を目的とする私達には、非常に繊細な気配りが必要とされているのです」
「ああ……それで皆さん、髪を短くしたり、まとめたりしているのですね」

 ベゼドラと自分とマクバレンさんの数歩後ろを黙々と歩いている四人を、肩越しにちらりと覗いてみたら。
 ほぼ同時に、素早く顔を背けられた。

 彼らが精霊達に関心を寄せているのは、痛いくらい伝わってくるのだが。
 彼らはどうも、言葉を交わせる存在すべてが苦手なのだとか。
 つまり、リーフやリオとも距離を縮められないままだ。
 精霊にしてみれば、不用意に近付かれるよりは気楽だというが。

「髪だけではありませんよ! どこにどんな種
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