放浪剣士
魔女を愛した男U
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
まさか―――。
そんなことがあるはずがない。
いや、あってはならない。
まさかベルモンドが―――?
あの襲撃を遅らせていたのが女子供を逃がすためだったとしたならばと、私の頭を疑惑がよぎる。
そのすべてを教えたのは散策も終わりを迎える間近の時だった。
「生き残りがいたぞ」
アルバが、異端者の娘と母親を引きずってきたのだ。
逃げ遅れたのだろう。
娘は泣き叫び、母は娘だけはと命乞いをしている。
「他の奴らがどこへ逃げたか白状させる」
母と娘を地面へ頬り打ち付けると、アルバは容赦なく娘を蹴りつけた。
「生き残りはどこへ逃げた」
しかし、娘は相も変わらず泣き叫び、母親はアルバの行為を咎め罵るのみ。
「喚くな。苛立って今にも斬り捨てたくなる」
アルバが剣へと手を伸ばすと、母親がアルバへと叫んだ。
地獄へ堕ちろ、と。
だが、それが最悪の方向へと向かった。
話にならないと、アルバは剣を振り上げ手始めに娘を殺そうとする。
娘の死が眼前に迫り、集落中に響き渡る母親の絶叫。
だが、娘の身体から鮮血が吹き出すことはなかった。
むしろ、地面に倒れたのはアルバの方。
私は目を疑った。
アルバを止めたのは、ベルモンドだったのだ。
背後から的確な一撃でアルバを気絶させていた。
どうして―――。
苦い顔をし、ベルモンドは言った。
「我々の正義とはなんなのだ」
その言葉が全てを物語っていた。
ベルモンドは教会を裏切っていたのだ。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ