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逆さの砂時計
異国の大地 2
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聴いて……これは助けなければと、希少種探査の名目で研究室を飛び出して来たのですよ」
 リースと全く同じ特徴。リースと全く同じ背格好。彼女に確かめてもらうまでもない。
 彼女の同族……精霊だ。
 「私達には理解できませんでしたが……役所に並んでる時、綺麗な力を感じると言って貴方を指したものですから、もしかしてと思い、声を掛けさせていただきました。先程と今の反応からして外れではないと推測しますが……其処に、精霊が居たりしませんか?」
 目の前に差し出された弱々しい精霊二人は、今は眠っている。
 「……彼女達の事は、誰にも?」
 「勿論です。あー……と、これはよく誤解される事なんですが。私達生物学者の第一目的は、種と多様性の安定保持、世界の繋がりと生命の基盤の実態解明であって、発展への応用は重要ですが副産物なんですよ。危機に瀕している者を更なる危険に追い込むのは、本意ではありません」
 良かった。
 研究者とは、知的好奇心を満たす為に手段を選ばず結果を獲ようとする人種だと思っていたが、その限りではないようだ。
 しかし。
 「よく、彼女達が貴方達と話しましたね? 精霊は人間嫌いだと聞いていますが」
 「ええ。最初は寄るな触るな汚らわしいと大変でしたよ。ただ、彼女達も相当弱ってましたからね。其処を巧く突いて、無理矢理説得しました」
 リース曰く、精霊の人間嫌いは相当根が深いらしい。
 他の生命を省みない現代の人間には恐怖すら感じると言う。
 それならマクバレンさんは? と考えてみて、少しだけ納得した。
 「……花は、お好きですか?」
 精霊からマクバレンさんに視線を移せば、彼は瞳を爛々と輝かせて胸を張った。
 「花だけじゃありません。生きるもの総て! 大好きですッッ!!」
 ……うん。
 精霊達が認めた人間なら、大丈夫だろう。


 
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