第2.5章 出会いと再会は唐突に
第32話 幸福を呼ぶ少女
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は出てる筈だから。ひょっとしたら、一度見つかっちゃったら同じ人にあまり効果がないのかも……」
ヒトミはそう言うと、ユーリの後ろに隠れてぎゅっと服を握っていた。本当に怖いようで身体をふるふると震わせている。その姿を見たら守ってあげたくなると思うのは誰でもそうだろう。
「……ひょっとして、さっきのはお前か! オレたちのレベル上げを邪魔しやがったのは」
「?? 何のことだ?」
「惚けるな!その幸福きゃんきゃんはオレ達が見つけたんだぞ! 1つの迷宮で2体もいるわけねえから、明らかにさっきのヤツだ!」
男は怒りながらそう言っていた。彼はファイターのようで、先ほどの連中のリーダーなのだろう。
「ん……かもしれないが、悪いが彼女は仲間なんだ。さっき知り合って仲間になった。な?」
「あ……ぅ……、ぅん。そうだよ? お兄ちゃん」
「ああ゙? 幸福きゃんきゃんを仲間にするヤツなんざいるわけねえだろ! 魔物使いでもそんなヤツいねえよ」
そう言い争っている時に、残った仲間の2人がこの場に現れた。
「おおっ! 見つけたのか! って、誰だ? コイツは」
「ったく……罠だって少なくねえのに、無理に突っ走るなよ。……ん?どういう状況だ?これ?」
ガンナーの男とレンジャーの男。
2人とも先ほどヒトミを襲っていた連中の仲間だ。……そう書くと酷く見えるが、別に彼らはそこまで間違った事をしているわけでは無いとも思える。……心情的に納得が出来ないと言うだけだ。
「コイツだ!オレらが見つけた幸運を掻っ攫って行ったヤツは!」
「「なにっっ!!??」」
「いきなりだな。あ〜、ん……」
この手の連中は、何を言っても無理だろう。
そもそも、個体が少ないと言われている(厳密には違うらしいが)幸福きゃんきゃんを一緒に連れてる時点でもう無理だとは思える。
「悪いがこのコはオレの仲間になったんだ。因みに名前はヒトミと言う、宜しく」
「何が宜しくだ!! だから言ってるだろ! 幸福きゃんきゃんは俺ら冒険者にとってボーナス見たいなもん! 仲間なんてありえねえし、持ってかえって虐めるんじゃねえのか!? てめぇ!!」
自分の事を棚に上げてそうわめく冒険者。だけど、それだけは認めたくないのはヒトミだった。
「お、お兄ちゃんはそんな事しないもんっ!!」
助けてくれて、そして抱きしめてくれたんだ。あの温もりは嘘なんかじゃない。だからこそ、ヒトミは勇気を振り絞って訴えた。だけど。
「てめぇは黙ってろ! 取り返して、後でたっぷり犯した後 殺してやるからよ!!」
「ひぃっ……!!!」
向けられたのは、明確な殺意。そして、その身を汚そうとする欲望だけだった。まさにユーリとは正反対だったんだ。
「おい、……
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