第2.5章 出会いと再会は唐突に
第32話 幸福を呼ぶ少女
[6/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
しを救ってくださった神様、なんです……」
手を伸ばして、ユーリの手を掴んだ。それは、先ほどと同様。抱かれ、連れられた時に感じた温もりと同じだった。本当に、この温かさはもういつ以来だろうか。
「……うーむ。神、か。正直 神って単語を聞くだけで毛嫌いしてたが。……止めた方が良いかな」
ユーリはそう言って?まれていないほうの手で頭を掻いていた。これまでも、それが理由で専属のレベル神と契約をしていないのだ。不憫じゃないとは言ったが……、確かに専属のレベル神がいた方が良いだろう。
「ん。神にも色々いるってことだな」
「え? どういう意味です?」
「いや、こっちの話さ。じゃあ、一緒に来るか?」
ニコリとユーリは笑った。その笑顔に応える様にきゃんきゃんも笑った。
「は、はい! え、えっと……ユーリ、お兄ちゃんっ!」
「ん? お兄ちゃん?」
「私、こう見えてもとても幼いんです。それにずっと、兄が欲しかったので。その、駄目……ですか?」
「いや……良いよ。久しぶりだな、と思ったから」
「はいっ! お兄ちゃんっ!!」
きゃんきゃんはそう言って腕に抱きついた。
――魔物使いと呼ばれる職業はある。だが、普通の人間がモンスターを仕えるような事、これまでにも殆ど前例が無い。
彼女の心を動かしたのは、彼だからなのか……?
共感するところがあったからなのか……?
或いは……その全てなのだろうか。
それは判らない。だが、繋がっているその手、絆はとても固いものだと思えた。
ユーリの新しい家族がここに出来たのだった。
〜マルグリッド迷宮2層・前原エリア ゴール前〜
ユーリは幸福きゃんきゃんを仲間にしたのは良かったのだが……。ここは危険な迷宮なのだ。
彼女は戦えないから、一緒に連れて行くにはかなり危険が伴う。
「え? 私の事??」
「そうだ。オレはこの迷宮の先にようがあるからな。きゃんきゃんである君を連れて行くのはちょっと心配だな、と思っただけだよ。まぁ、一旦ここから出るのも手だが」
そうなれば、依頼遂行の時間が大幅にかかってしまうだろう。
期間があるわけじゃないからその点は大丈夫だが、依頼品がなくなっている可能性は否定できないのだ。
「私は大丈夫だよっ!」
「何が大丈夫なんだ……? きゃんきゃんが戦ってる所なんて、オレは見た事ないんだが」
「大丈夫だって、じゃあ、いっくよ〜〜!!」
「ん? ……ん??」
ユーリは目を凝らした。
前にさっきまでいた筈なのに……眼を凝らして確認しなければならない程、その姿が判りづらくなった。そう、《認識》しづらくなっていたのだ。
「……何をしたんだ? 急にいなくなったのか? と思ったくら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ