第2.5章 出会いと再会は唐突に
第32話 幸福を呼ぶ少女
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「………」
「大丈夫か?」
ユーリはとりあえず、腰を降ろし 抱かかえていたきゃんきゃんを離した。……まだ、混乱しているようだ。いや……怯えていると言ったほうが正しいだろう。
「そ、それで……あなたは、わたしを、どうするんですか……?」
涙目で見つめてくる少女。
もう完全に、この子を、モンスターとしては、見れなくなってしまっている自分が確実にここにいる。そうユーリは思っていた。
幸福きゃんきゃんに関しては、過去片手で数える程しか遭遇した事ないが、皆一様に最後の瞬間まで笑っていた。一般には知られていないが、気絶させただけでも経験値がくれる為(その後は普通のきゃんきゃんに戻っていた)ユーリはいつも殺す様な事はせずに気絶させて経験値を得ていたのだ。
だが、目の前のコはどうだ? 姿こそ、幸福きゃんきゃんのそれだが、今は人間にしか見えない。
「どうもしない」
「え……? なら何で私をあそこから……」
「見ていられなくなってな? ああ言う光景、いつ見ても嫌気がさすんだよ。女の子モンスターでそう感じたのは初めてだ」
ユーリはそう言って笑っていた。
過去に女の子モンスターに対してイタズラをした連中は見たことはある。だが、それは女の子モンスター達も命がけで戦い、人間の命をとろうとしていた事もある。そして、戦いに負けた以上は、とやかく言うべきではないのだから。
逆に殺されないだけマシだと言えるかもしれない。幸福きゃんきゃんは、じっとユーリの目を見つめていた。まだ 震えていて怖がっているようだが、決して目を逸らせる様な事はしなかった。
「し、しんじても……良いんでしょうか?」
そう、口を開いた。ぎゅっと手を握り締めている。本当に怖かったんだろう。ユーリはその手を包み込むように握り締めてあげると。
「ああ。大丈夫だ。オレは、君には何もしないよ」
笑顔のままに、そう言っていた。それを見て判った。
そもそも、生け捕りにする意味など殆ど無いのだ。経験値を異常にもらえると言う特性が色濃く出ているのだから。 そして、何よりも安心出来る笑顔だったから。
「あ……ありがとう。ありがとうございます……」
涙を流し、何度も何度も頭を下げていた。涙を流し続ける彼女を見て、ユーリは軽く頭を撫でながら訊いた。
「キミは……本当に女の子モンスターなのか? オレは、きゃんきゃん自体は沢山見てきている。幸福きゃんきゃんも少ないが見てきている。だが君の様なコは、これまでの冒険で見た事がないな」
「あ……、はい。私は一応女の子モンスターに分類されてます。ですが、少し……色々とありまして。その……前世の記憶があるんです」
「前世の……」
ユーリは表情を強張らせた。その感覚は、他人
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