第2.5章 出会いと再会は唐突に
第32話 幸福を呼ぶ少女
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から。
「(いやっ……だ、だれか……)」
手をぎゅっと握り締めて 懇願しようとする。折角、安息の場所が見つかって 静かに平和に暮らしていたのに。モンスター達がいる事自体は怖かったが、害は無かった。
なのに……。
「お、お願い……誰か……誰か助けてっ……!!」
そう叫んだ瞬間だった。
いきなり、この場が閃光に包まれたのだ。
「うおっ!!」
「な、なんだぁぁ!!」
「ま、まぶしっ! め、目がぁぁっ!!」
男達は目を血走らせて見開いていた為、まともに光を見てしまい、目が眩む。目が眩むどころじゃなく、耳もやられ、難聴に陥り見当識失調を発生させてしまったようだ。
「ほら、こっちだ。今の内に」
「っっ!?」
きゃんきゃんは目を瞑って叫びを上げていた為、その光を見ないですんだのだ。だが、音響は響いてきたから軽いパニックに陥ってはいた。突然、手を握られてしまい驚いてしまったのだ。
驚く間もなく、手を引かれ、抱かかえられる。
「えっ? ええっ??」
「ちょっと我慢してくれ」
「え? きゃっ!!」
凄まじい速度で走られてしまい振り落とされるかと思ったが、とりあえず必至にしがみついていた。その力強い身体を、しっかりと抱きついていた。
ユーリが気づいたのは更に進んだ先のエリア。
〜マルグリッド迷宮2層の佐藤エリア〜
その場所に着いた時だった。
何やら、騒々しいのに気がついた。通路を覗いて見ると、きゃんきゃんを追いかけている冒険者達が見えたのだ。別に相手はモンスターだから、そこまで意識してなかったのだが、ユーリも彼ら同様におかしいと思ったのだ。
「……きゃんきゃんって……あんな感じだったか?」
その事が、気になったのだ。ユーリ自身もきゃんきゃんについてはよく知っているから。
そこで、ユーリは気づかれないように後をつけていた。
袋小路に追い込んだ彼らは、きゃんきゃんを蹂躙しようとしていた。幸福きゃんきゃんだから、経験値を大幅にくれる極めてレアなモンスターだから躍起になる理由は良く判る。
だが、泣きながら助けを請う。……そのきゃんきゃんの姿を見て、ユーリは きゃんきゃんの姿が以前に盗賊団に捕まっていた少女に被って見えたのだ。
「………助けるか」
他者から見れば異常な光景なのかもしれない。だが、自分の心に従ったまでだ。流石に冒険者達を打ち倒すわけにはいかないから、以前にランに使った技を使用し目を晦ました後、きゃんきゃんを助け出したのだった。
〜マルグリッド迷宮2層・前原エリア〜
ここが、2層エリアの最奥。
この曲がり角先がスタンプエリアであり、ゴールだ。
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