第2.5章 出会いと再会は唐突に
第32話 幸福を呼ぶ少女
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おかげでお前ら……斬られずにすんだんだぞ?」
ユーリは目を細めつつ剣を水平に構えながら目線近くにまで持っていった。灯籠の光を剣が反射させ、まるで悪鬼の様に見えてしまうその姿。
「は……ははは」
「く……くくっ!」
「ははははは!!」
今度は突然笑い出した。
怒ったり慌てたり笑ったり、随分と忙しい連中の様だ。
「それで、まだヤルか? 今度は修整してやるから外さないかもな?」
ユーリが再び剣を構え直したその時だった。
「い、いやー、お強いですね〜〜ま、参りました!!」
「そ、そう、旦那には敵いませんよ〜、それがよ〜くわかりました」
「お、オレなんてさいっしょっから判ってやしたぜ? 旦那がお強いのを!」
今度は、ゴマをするようにそう言ってくる。
この手のタイプの連中も初めてでは無い。所謂、勝ち目のない相手には絶対に逆らわないタイプだ。力をつけてやり返してやろう!と言う気概は無く、完全に降参をしている男と言うこと。
「はぁ、それで? どうしても、このコを連れてくのか?」
「い、いやっ! 滅相もありやせん! レベルなんかより、命の方が……とと、旦那の得物を奪うなんて命知らずでさぁ!」
「そう、そうさ!元々旦那が先だったんじゃねえ?? オレ達が横取りしそうになったかも……」
「そうですそうです!! きゃんきゃんくらい連れてって良いですぜ! 旦那が楽しんで下さいうや!」
「だから、このコは仲間で名前はヒトミだって言ってるだろ? ……変な事を言うな」
「「「へい!!!了解しやした!!!」」」
少し怒りながらそう言うと、まるで敬礼をせんばかりにビシッと背筋を伸ばして頭を下げていた。……普段から顔の事を色んなヤツに言われてるから、こう言う扱いをされるのは何気に好きなのはこっちの話である。
「ま……、お前らこっから先に行くのか?」
「い、いえ……、俺らの実力じゃ、第3層はきついので、脱出装置を使おうかと」
「そうですそうです。一応そのきゃんきゃん、じゃなくヒトミちゃん以外にも功績はありますし!」
「十分十分で、これから帰ろうかな、と思ったところでさぁ!!」
「ん、判った。まぁ気をつけろよ? あの程度の太刀筋、見えないレベルなら間違ってもまだ3層には降りてくるな。……何も得られず無駄死にする可能性が高い。冒険に出るのなら、危機感もしっかりと養って置けよ」
「は、はい!! わかりました!!」
「ご教授、ありがとうございやす!!!」
「ど、どうもありがとうです!!!」
またまた、敬礼をしちゃう3人。もう、プライドも糞もない様子だ。それ程の衝撃なのだろう。
「やれやれ……、さ、行くか? ヒトミ」
「う、うんっ!! お兄ちゃんっ!」
さっきまで震えていた
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