第2.5章 出会いと再会は唐突に
第32話 幸福を呼ぶ少女
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口には、気をつけろよ。オレの仲間に、いったい何言ってんだ?」
ユーリは冒険者を睨みつけるようにそう言った。
その気迫と殺気にたじろいでしまったようで、一歩後ずさるが踏み止まる。後ろのメンバーも同じようだ。
「お、お前が奪ったんじゃねえか!! 何正義面してんだよ! それに、そいつはモンスターだ」
「そうだ! オレたちのレベル上げを邪魔すんじゃねえ!」
「さっさと渡せ!」
そう言うと男達はジリジリと詰め寄ってきた。
一応、それなりに脅かしてやるつもりで殺気は放ったのだがある程度の実績がある冒険者の様だ。たじろぐ事も怖気づく事も無く立ち向かってきた。ユーリは男達を見て軽くため息を吐くと。
「なら、やるか? 互いに冒険者だ。冒険の過程で依頼やアイテムを奪い合う事だって珍しくない。あの段階でお前達が油断をしていたからこうなったんだろ? ……欲しいのなら奪い返して見せろよ」
ユーリはそう言うと、軽く柄を握った。その言葉、仕草を聞いた男たちは一気に奮起した。
「おーおーおー!! そのつもりなら、殺ってやんよ!! 泣いても知らねえぞ!」
「一発で射抜いてやる! 覚悟しろよっ!」
「オレの速度についてこれるのか!?」
三者三様に臨戦態勢に入ってきた。
この方がわかり易いだろう。この世界も悪く言えば弱肉強食とも言えるのだから。
「……まだ仕事があるんでな。もう、斬って良いか?」
ユーリは、態々セリフを1人ずつ言っている3人にそう言うと。
「「「ふざけんな!!」」」
3人が飛び掛ってきた。
「お、お兄ちゃん……」
「大丈夫だ。オレから離れるな?」
「う、うんっ……」
ヒトミがぎゅっと服を握り締めているが、彼女は重くないから大丈夫、と言うか寧ろ軽いのだ。それに、この相手は腕が動くだけで十分の相手だ。
「フンッ!!」
「ッ!!」
「うわぁ」
「なっ……!!」
ユーリは剣を引き抜くと、連中に向かって振った。その勢いと風圧で、思わず男達は驚いて、後ろに下がるが、身体はなんともない。それを確認すると、笑い声を響かせながら言う。
「だ、だははは!! 遠近感もわからんのか? お前は! てきとーに剣を振ってるだけじゃあたんねーよ!!」
と、言った瞬間だった。
突然、轟音と共に背後の壁、高さ的には頭2個分くらい上の壁に斬り込みが入ったのだ。
「…………」
「…………」
「…………」
まるで、この世のものとは思えない何かを見たかのように、顔を青ざめている男達。ユーリはその3人を見つつ剣を肩に担ぐ。
「おや? 位置を間違えたか……、もう少し下だったな。だが、お前ら良かったな?」
「っ……!!」
「オレに遠近感が無かった
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