暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第2.5章 出会いと再会は唐突に
第31話 マルグリッド迷宮へ行こう
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、遠目からは良く判らないが、確かにいた。

「囲まれてるな。あれは危険そうだ」

 ユーリは、そう思うと素早く。あの人物のまわりに集まっているのはモンスター。1匹や2匹どころ騒ぎじゃない。まるで大繁殖したのか? と思えるくらいひしめいていたのだ。

 帽子を被り、髪で右目部分を覆っている。容姿から考えたら女の子だろうか?大ピンチにも関わらず全く感心が無いような感じのコが冷静にモンスター達を見据えていた。その傍には白い何かが引っ付いているようだ。……おばけ?

「おい、これって何気にピンチじゃないか?」
「はい。そうですね」
「って、そんな落ち着いてられる場合か!!」
「?? 落ち着いてませんよ? 本当にピンチです。とてもピンチです」
「なら、もっと慌てろっっ!! に、逃げるぞ!!」
「はい。……ですが、四方を囲まれてます」

 無表情にそう答える。一通りの武の心得はあるようで、器用にメイスを使いハニーを何体か打ち倒してはいるが。

「うろろ〜んっ! ぱーんち!」
「っ……」

 るろんたの一撃を無防備な背後から食らい、バランスを崩してしまった。

「クルックーっ!!」
「大丈夫です」

 体勢を整えると、後ろにいたるろんたを打ち倒した。
 だが、まだ、《イカまん》や《ミートボール》《ハニー》……etc。種類的には3〜5種類だが、数がやはり多いのだ。

「………」
「何考えてる?」
「今までの人生、ですかね? 振り返ってます」
「走馬灯を感じてるんじゃねえって!!」
「しかし、本当に弱りました。トローチ先生」
「だから、1人でマルグリッドなんかに来るのは危ねぇって言ったのに……」
「はい。浅はかでした」
「だから、もうちょっと慌てろっての!!」

 本当に絶体絶命のピンチなのだが……、なんだろう? この緊張感の無さは。明らかに囲まれている状況で。モンスターにそんなのが伝わるわけは無いから、容赦はしない。その感じは、見えてきた所で十分伝わってきた。

「うーむ……肝の据わったコだな。まぁ危ないのは間違いないな……」

 ユーリは妃円の剣の柄に手をかけると、刀身を抜き出した。完全に後ろを取っている為、居合で先手を取る必要も無い。今は、広範囲に攻撃できる手段が必要だろう。

「煉獄・朧」

 闘気を込めた剣を水平上に薙いだ。真一文字の太刀だがその性質は攻撃の範囲を広げる所にある。綺麗にモンスター達を2つに斬った所で、半分程度の数が減った。

「おや……?」
「ぷーびー! ぷーびー!!」
「ふぅ……大分緊張感のないやり取りだったが、本当に大丈夫か? お前ら」
「はい。大丈夫です」
「………」
「ああ、喋れるのもう見てたから、他言するつもりも、何か言うつもりも特にない
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