第2.5章 出会いと再会は唐突に
第31話 マルグリッド迷宮へ行こう
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…だが、所々抜けているらしく、常識も欠落してる部分もある様だ。だが、それはクルックーが悪いと言う訳ではない。周囲の環境と言うものは、その者の人格を作り出してしまうのだから。
ユーリは、まるで世話のやける妹が出来たような感覚になっていた。
「……妹、か」
「どうかしましたか? ユーリ」
「いや、何でもない。……ん。そう言えば名前、自己紹介の時以来だな?」
「そうでしたか……そうですね。次からはちゃんと名前を言って御礼をします」
「そこまで畏まらなくてもいいって」
ユーリはやれやれと頭を掻きながら、最奥にあるゲートの前に立った。ここでスタンプを押す。その印をもっていれば、次に入口から入るときに、更に深い層にまで降りる事が出来るのだ。無論、このまま下へ降りる事は出来る。
この場所には脱出装置も備え付けてあり、先に進むか 引き返すかを選ぶ事が出来るのだ。
「クルックーは、もう帰るのか?」
「はい。私には任務がありますので」
「そうか。道中は気をつけてな。今回見たいな場面、滅多には無いと思うが 気をつけることに越した事は無い。それに迷宮みたいなダンジョンに潜るならある程度のパーティを組んだほうが良いぞ?」
「……そうですね。お気遣い痛み入ります。本当にありがとうございました。……ユーリ」
「お? 少しだが、表情が柔らかくなったぞ」
「……そうでしょうか」
クルックーは判っていないらしく、首を傾げていた。ユーリは笑って頷くと。
「オレとしてはそっちの方がいいな。自然な感じがする。教団内には色々あると思うが頑張れよ」
「……はい。では、また会いましょう」
「そうだな。また何処かで」
ユーリはそう言うと第2層へと降りていき、クルックーは脱出装置を使ってこうして、クルックーとの短い時間のパーティは解散した。
―――クルックーたちの帰りの道中。
「おい。アイツを捕まえなくて良かったのか? 間違いなくバランスブレーカーの1人だぞ? 詳細は判ってないけど、後々、世界の驚異とかで、登録されていた筈だ」
「はい。大丈夫です。質問しても問題ありませんでしたので」
「ったく……誰かに先を越されても知らないからな」
「それにあの人を、ユーリを捕まえるなんて無理かと。私では、正直敵う気がしませんし……」
「し、なんだ?」
「いえ……」
クルックーは、トローチの方を見ずに目を逸らせた。
「そういや、お前が他人の名前を覚えるのって珍しいな」
「そうでしょうか?」
「……数時間前に会ったヤツの名前、前すっかり忘れていたじゃないか」
「???」
「会ったその事自体忘れてるんだな」
呆れるように下を向いたトローチ。
クルックーの心情の変化には驚いたがそれ
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