異国の大地
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をお願いしますね」
「……うん……」
小さな体が硬くなって震える気配。
レゾネクトが居るかも知れないと思うと、怖くて仕方ないのか。
心身共に弱っている状態で、圧倒的な力を持つ敵と対面する可能性……
彼女の心に掛かる重圧は計り知れない。
会いたくないのは自分も同じだが。
現状、リースには共に戦える信頼した仲間が居ない。
その仲間の無事すらも確認できていないとなれば、心細いのは当然だ。
「……大丈夫ですよ」
恐怖で体まで凍え切ってしまわないように。
コートの上からそっと、彼女を手で包む。
自分達も、レゾネクトに対しては無力に等しい。
それでもせめて、ひとりきりではないと伝われば良いのだけど。
入国を果たしたほとんどの人は、近くにある街を目指しているらしい。
行列は大体の形を維持したまま、同じ方向へと流れて行く。
自分達は、露店で手に入れたカンテラと周辺の地図で現在地を確認。
リースが示した、列とは違う方角へと歩きだす。
が、少々困ってしまった。
列を離れてしばらく経っても。
自分達と同じ一本道を進む徒歩の集団が、自分達の前後に居るのだ。
脇へ逸れてやり過ごそうにも、時刻は真夜中、周囲は森。
人間的に不審な行動で目立つのは、今後の為にも避けておきたい。
「面倒くせぇな。休むフリして後ろの奴らを先に行かせりゃ良いだろうが」
「こんな細い道一本しかない場所で、ですか。私達を見る彼らの好奇の目は貴方も感じているでしょう? 迂闊に足を止めたら、声を掛けられますよ。それは困ります。他人に顔を覚えられる状況はできる限り避けたいです」
「なんで」
「どこで誰に見られて不審に思われるか分からないからですよ。ただでさえ人間には不可能な旅路を進んでいるのです。余計な追っ手が付いて妙な噂にでもなったら、アリアの後を追う障害になります。ましてここは異国の地。さっきも話した通り、私達はこちらの言語に不自由です。国境沿いならまだなんとかなるでしょうが、基本、対話は通用しないものと考えてください」
「つまり、お前得意の説教も」
「ええ。ほぼ無力です。だからこそ、法律を遵守する必要があるのですよ」
どんなに内容で言い包めようとしても。
言葉そのものが伝わらなければ意味がない。
残念ながら、自分が操れる言語にこの国の公用語は含まれていなかった。
幼少期のつまらない意地が、こんな形で足を引っ張るとは。
皮肉なものだ。
「つくづく面倒くせぇ」
「しばらくの間はこのまままっすぐ進んで、どこかの分かれ道でそれとなくやり過ごしましょう。リースの朝露も確保しなくてはいけませんし」
もう一度ポケットに手を添えてみる。
震えは止ま
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