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銀魂〜Sirius and Antares〜
エピローグ
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振り向くと攘夷志士達をまとめる総大将ーー桂小太郎が皆を安心させるような優しい笑顔で、彼に話しかけた。
『銀時たちなら大丈夫だ。殺しても死なないような奴らだからな』

『桂さんは…』

『ヅラじゃない桂だ!…あれ?』
いつにもない青年の真剣な表情に、桂は首を傾げながらも、その落ち着いた瞳で見つめる。
『桂さんはどうしてそこまで信じられるんだ?生きて帰って来るって…』
どうしてそこまで確信を持って生きて帰って来る信じられるのか。隣で笑っていた友が明日になったらいなくなっている。自分がもっと強ければ守れた命があった。ふとした瞬間に、志半ばで息絶えた仲間達の怨念と怒りの声に飲み込まれそうになる。
そんな過酷な日々の中、正気を保っているのは至難の技だった。
青年の問いに、桂は少し驚いた表情を見せたが、やがて銀時たちが去って行った方角を見つめ長髪を緩やかな風に揺らしながら静かに答える。
『何故なのか…はっきりとは俺にもわからん』
意外な桂の答えに、青年は驚いて顔を上げる。あの知的な桂のことだから、何かはっきりとした答えを言うと思っていたのだ。
総大将としての彼は、攘夷志士の最後の砦とも言える。故に、仲間に弱みを見せるようなことは許されない。それゆえ、想像も出来ないような責任も負ってきたに違いない。

だからこそーー彼の言葉には、深い重みがあった。
桂は言葉を続ける。
『だがな、あいつらは俺の大切な友人であり家族でもある。
あいつらが俺達を信じて背中を預けてくれているのに、俺達があいつらを信じてやらなくてどうする』
ーー友人。
ーー家族。
桂の落ち着いた低い声が、青年の心にストンと落ちる。本人でも気づかなかった心の穴をゆっくりと埋めていく。確か桂は、銀時や高杉と幼い頃から同じ師の元で学んだと聞いている。三人が戦争に参加したのも、その師を救う為だと。
青年は何かが自分の志の中を満たしていくのを感じた。
(家族…か)
爽やかな春風が青年達の間を吹ききっていった。










『銀時ィ…もし俺がおっ死んだら…先生を頼む。俺と同じろくでなしにしか頼めねェ』


『じゃあ俺もそのろくでなしに頼む』





『死ぬな』
そう言って二人の侍は周りを取り囲む天人達に向かって駆け出した。互いの背中に、護りたい物を預けながら。
必ず生きて帰ると信じて。

















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