暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第2章 反逆の少女たち
第28話 絶望の中の光
[9/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
あぅっ!!」

 その爆風で吹き飛ばされるマリア。背後の木に背中を強打し、崩れ落ちる。

「(こ、これだけ、離れてるのに……そんな……)」

 痛みを堪えながらマレスケ試作型を見るマリア。

「そ、そん……な……」

 一目診ただけでわかる。もう直すのは無理だ。砲身が完全に歪んでいる。無理に撃てば絶対に暴発するだろう。

 自分の攻撃手段が完全に潰された。いや、それ以上に……。

「う、うそ……、みんな、みんなやられちゃったの……」

 その事だった。
 この攻撃は間違いなくラギシスのものだ。こっちに攻撃を出来る余裕があると言う事は……皆が……。そうマリアが連想しても仕方が無い状況だった。目に涙を浮かべて拳を握り締めるマリア。

 絶望の炎が自身の兵器を焼いていくのは、まるで仲間達も一緒に焼かれている事を更に連想させていた。

「た、たすけて……だれか……」

 背中の痛みの中、意識も薄れ始めていた。自分の傷は決して浅くは無いとわかる。だから……自分に出来るのは助けを乞うことだけだった。
 頭の中に浮かぶのは、この場にはいない男女の名前。

「たすけて……ランス……シィルちゃ……」

 マリアの握り締めた拳がゆっくりと開く。マリアは完全に意識を手放したのだった。







〜カスタム周辺の森 洞窟前〜


「ふははははは!! この私を小者呼ばわりした報いだ!! 思い知ったか? この≪小者≫が!」

 ラギシスがそう吐き捨てている相手は、今目の前で倒れている男に向けている。他の4人は、余波を受けただけだが、立つ事が出来ない程の傷だった。だが、ラギシスは初めからそいつらには目もくれていない。今向けているのは地に伏している男、ユーリの事。

「あ、ああっ……!!」

 志津香は、目を見開いた。
 あの光景が目に焼きついて離れない。自分を庇うように前に立つユーリの姿を。

「ら、ラギシスぅぅっ!!!!!!」

 怒りに身を任せ、魔法を飛ばそうとするが、

「ぐ、く………」
「くくく、先ほどのお返しだ志津香。貴様の魔力を封じるなど私には訳は無いのだよ」

 ラギシスは、志津香の頭を押さえつけるが如く力で魔法共々に押さえつけた。

「ゆー……り……ぐ、」
「あ、あ……」
「そ、そん……な……」

 4人はそれを見る事しか出来ない。
 自分の身体なのに、動かすことが叶わない。ただただ、自分の無力さを呪うことしか出来なかった。

「なるほどなぁ……、志津香。この男はお前の想い人だった、ということか? かっははは! これは滑稽、傑作だ。親子共々似たような最後を遂げるんだからな!」

 ラギシスは勝者の愉悦に完全に浸っているようだった。
 志
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ