それぞれの道
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何が災いになるか判ったもんじゃないし」
「それもそうなんだけどね」
ソレスタが礼拝堂に足を踏み入れると、女性達が一斉に椅子を占拠した。
目的はもちろん、彼の説教ではなく、彼の横に付き添うアーレストだ。
信仰を広める者としては微妙な心地だが。
彼女達をないがしろにするわけにもいかない。
アーレストも定位置について、毎日の説教の時間が始まった。
少し低めの落ち着いた声が、静かな礼拝堂内に響き渡る。
崇拝する女神アリアの教えを耳にしながら、アーレストが心に思うのは、頼りなくもまっすぐな心を持った友人の姿。
何か大事に巻き込まれている気がしてならない。
無事であれば良いのだけど。
と思った直後、記憶の片隅をよぎった全身真っ黒な悪魔の男に、「お前はどんだけ苦しんでも、いや死んでも良いから、クロスツェルだけは絶対に、何がなんでも必ず護り抜きやがれ!」と悪態を吐いた。
少なくともアーレストは、組織内での出世に意味を求めていない。
上層に立つ資格よりも、より多くの人間に直接手を差し伸べられる立場であれば良いと思っていた。
プリシラが上に立てば、下に就いた自分達が動ける範囲は更に広がると、その点も信頼している。
だから。
「我が友クロスツェルに、女神アリアのご加護があらんことを……」
今ここで。この場所で。
自分にできる精一杯をしようと、改めて誓った。
クロスツェルが求めるものを得られるように。
フィレスが何者にも負けないように。
迷える者達が己の道を選び取れるように。
強く、祈る。
「どうか無事で。でも、次に会ったら絶対問い詰めてやる。覚悟しなさい、クーちゃん!」
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