それぞれの道
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てやろう!」
「その表現は爬虫類みたいで嫌です、師範」
「全力でやめて。貴方、力を入れるほど失敗するじゃない」
「なにおう!? 俺の本気を侮ってるな!?」
「その本気が問題なんだってば…」
二人は楽しそうに話しながら厨房へ向かった。神父の仕事をしてた師範はともかく、アーレストさんは食事や入浴時等以外不眠不休でずっと私に付き合ってくれてたのだが…けろっとしてるのがすごい。どれだけ線が細く見えても男性なのだな。やっぱり。
「私も、一から鍛え直さなくては」
師範…私は貴方が誇れる弟子でありたい。だから、今よりもっとずっと強く。自分を磨きます。頼ろうとする弱い私は、ここに置いて行く。
「師範! 私もお手伝いします!」
二人を追って私も厨房に向かった。三日三晩の恩義はきっちりお返ししなくては。
「…では、お世話になりました」
「おう。行ってこい!」
一日が何事も無く明けて。フィレスは教会の一室から旅を始める。
「貴女に女神アリアの祝福が舞い降りますように」
「ありがとうございます、アーレストさん」
尊敬する師と、とても人間とは思えない美しさで不思議な事をやってのけた神父の見送りを受けて、羽根を握る彼女は…消えた。
「…なんだ?」
怪訝な金色の瞳でじっと睨まれながら、ソレスタはへらっと笑う。
「あれだけ彼女を気にかけていたわりには、付いて行くとか言わなかったのね。補佐としては助かるけど」
「俺は普通の人間だから。フィレス相手ならともかく、謎現象には手も足も出せん。生きて知りたい、やりたい事が山ほどあるし、まだまだ死にたくはないのさ。それに…」
「それに?」
「自分の手で滅茶苦茶に壊したいくらい愛する女にツライ旅をさせるのは、男の務めだろ?」
とんでもない発言にギョッと目を丸くする。女神に仕える聖職者が、神聖な教会で何を言い出すのか。
「アンタ、屈折しまくってるわね。やめてよ? 聖職者でいる間に婦女暴行とか。シャレにならないから」
「そりゃアイツ次第だなぁ。誰かの物になるつもりなら容赦無く喰うけど。俺は俺で自由にするし、その間は好きにさせとくさ」
「…もし仮に、誰かの手で殺されてしまったら?」
「命って万物平等だよな」
冷えた瞳に反して口元に曲線が浮かぶ。この男の考えは、やられたらやり返す…なんて可愛いものではないだろう。どの口が平等を唱うのかと呆れる。
「倫理って言葉の意味を事細かに教える必要がありそうね」
礼拝堂に向かって歩き出す新米神父をジトッと睨み…その後に続いて部屋を出る。
「とりあえず、問題は俺がフィレスをどうこうって話じゃない。フィレスが世界にどう関わるか、だ。また増えたんだろ、改宗希望者と入信希望者」
「…みたいね。こちらには
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