第2章 反逆の少女たち
第25話 魔想志津香
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焦点すら合っていない。
いや、意識すら定かではないのかもしれなかった。
「そ、惣造さんっ!!」
痛む足を引きずりながら、息子を抱え必至に近づくリサーナ。リサーナが受けた魔法の反動のせいか、幼い子供は気を失ってしまっていた。これが、どういう状況なのかを、理解した後で。
「りさーな、さん。にげ……るんだ!」
「あ、あなた達をおいてなんて……でき、できないっ! わたしも、さいごまで……」
「それ……では、だれが、ゆーりを、まもるんだ!?」
「ッ!!」
惣造は、震える手で懐から何かを取り出す。
「何を考えてるか知らんが、させんぞ! 惣造!!」
ラガールが、攻撃をしようと構える。雷撃の魔法を撃ち放つが。
「いのちを、オレのいのちを……くらえ!! らいとにんぐ……れーざーーー!!」
「ぐあああっ!!!」
ラガールの撃ち放った雷撃は、瞬く間に撃ち払われ、惣造の放ったレーザーがラガールの肩を貫いた。
「ぐっ……、貴様のどこにそんな力が……!!」
自身が使う魔法よりも遥かに強力な力で返された事実、そしてもう満身創痍の身体で攻撃してきた事実、それらが まだ余力を残している筈のラガールの行動を、思考時間を削いでいた。
「にげ……るんだ……」
ラガールは懐から、丸い何かを取り出し、リサーナに投げた。リサーナは反射的にそれをとると、突然身体の自由を奪われた。身体が縛られたと言う方が正しいだろうか。
「こ、これは転移装置……テレポートウェーブ!?」
リサーナがそれを悟った時はもう遅かった。自身と息子を包み込み 空間転移からは逃げられないのだから。
「い、いや! 惣造さんっ!! アスマーゼさんっっ!!」
リサーナは空間を何度も叩くが、破れることは無く、遂に視界には何も移らなくなった。あの場所から……飛ばされた証拠なのだ。
最後に見たのは……惣造のやり遂げた事の少しの安堵の表情。自分達のせいで他者を巻き込む事を拒んだ男の決死の行動。
ただ……自身の妻を救えなかった、そして最愛の娘を残して逝く事が唯一の悔だった。
「簡易転移だと!!貴様、そんなものを!?……ぬ?」
ラガールはこの時、惣造の異変に気がついた。目の前の男の目には何も映らない。もう、言葉を発することも出来なくなってしまっていたのだ。
「そ、そんな……、お父……様」
志津香も立ち尽くしていた。そう……、惣造はもう事切れていたのだ。
立ったまま仁王立ちをしたまま、もう息を引き取ってしまっていた。
「れ、れん……ご……く……」
ユーリも、手から剣が零れ落ちた。行き場を失った闘気、煉獄だけが、周囲に無参していく。
そ
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