第2章 反逆の少女たち
第25話 魔想志津香
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もう、死んでしまったんだとまで思っていた、記憶の奥底において来たあの≪ゆー≫にもう一度会う事が出来て良かったと思っていたんだ。
〜志津香の屋敷 環状列石装置前〜
2人は無事に現代へと戻ることは出来ていた。絶望を味合わせる装置だったようだが、戻れなくなる仕様にはなってなかったようだ。今思えば危なかったのかもしれない。
「……もう、この迷宮にいる意味は無いだろう? 皆心配してるから 戻ろう」
「……そうね」
まだ立ち直ったとは言い難い。
だが、前に進まなければならない。自分がしてしまった事への償いもあるんだから。
「そうだ。志津香、誘拐したカスタムの娘達は? 無事……だよな?」
「当たり前でしょ。……攫った事は悪かったって思ってるけど。それでも 傷つけてはないわ。奥の部屋にいる。一緒に連れて帰りましょう。ゆ、……あ、そうよ」
志津香は、何かを思い出したようでユーリの方を見ていた。
「そういえば……私はアンタの事≪ゆー≫って呼んでたよね?」
「ああ……、オレも今回の事で大体思い出したよ」
志津香から、自分の名前、《ゆー》と言う言葉を訊いて、ユーリは上を向いて呟いていた。懐かしき日の思い出を、漸く思い出す事が出来たんだ。
「その……今更なんだけど……」
「ん、なんだ? 口ごもって。らしくないんじゃないか?」
「あ、アンタが私の何を知ってるって言うの!! 子供の頃だけでしょ!!」
ユーリの言葉を訊いて、志津香がまるで火山噴火の如く勢いで、ユーリにそう言っていた。
そして、それを聞いてユーリは 再び笑った。
「そう、それだ。……そんな感じが志津香だろう? はっきり言わないなんて らしくないんじゃないか? って事だ。間違ってないと思うよ」
「むぅ……、ああもう! 判ったわよ!」
志津香は一睨みするとため息をする。調子が、本当に狂ってしまう。いつもの自分じゃない様に。
そして、意を決して志津香は口を開いた。
「その、アンタの本名……知らないのよ」
「………」
その告白を訊いて、ユーリは目を丸くしていた。
そう言えば、アスマーゼや惣造ならまだしも、幼かった彼女が覚えているとは思えないし、そもそも覚えたとも思えない。カタコトくらいしか話せない程、幼い少女だったんだから。
「はははは!」
「ッ! 笑ってるんじゃないわよ!!!」
志津香は足に魔力を集中させ、全身全霊を込めてユーリを足を踏み抜いていた。べきっ! と鈍い音と共に、痛みとして、脳に認識され、その痛みを正確に伝えられてしまう。
正直痛みは酷かったが、一先ず笑顔が戻りつつある志津香に安堵感をユーリは覚えていた。
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