第2章 反逆の少女たち
第25話 魔想志津香
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して、この時に全てを悟った。
なぜ、記憶がこうも曖昧なのかを。
ここまでの事態があったのに、簡単に忘れるとはどうしても思えない。この光景を見たとき、記憶にかかっていた靄が晴れたのだ。
『記憶は母親の手によって封印されていた』
そう理解出来たのだ。
そして、母を責めたりは出来まい。……幼い子供にとってそれは、酷な記憶だったから。だが、ユーリの目からは涙が留まること無く流れ続けていた
そして、目の前の元凶の男、ラガールは逃がした事こそ、悔やんでいたようだが、惣造が死んだことで笑みを取り戻し再び動けないアスマーゼに近づいていったのだ。アスマーゼは、あまりの事に精神をやられて気を失ってしまっていた。
「ッ!!」
ユーリは、反射的に志津香の方へと走っていた。蹲っている彼女の先にいるのがラガールとアスマーゼ。これから何が行われるのか……考えられるのは最悪の結末。
「志津香……!!」
「ぅ……ぅぅ……」
ユーリは、志津香を抱かかえ、この場所から離れた。触る事も話す事も出来ない。何一つ変えられない最悪の時の逆行。呪いとも言える空間から遠ざかる為に。抱かかえられていた彼女だったが、抵抗する事はしなかった。
そして、環状列石装置の前へとやってきた。
彼女の足取りはもうしっかりしていた為、ユーリは志津香をゆっくりと下ろした。
「どう言う事……、時空転移魔法は確かに成功した筈なのに……なんで、なんでなの!」
行き場のない怒りを、そのままユーリにめがけた。拳を握り ユーリの胸を叩く。
それを見たユーリは、ゆっくりと志津香の両方の手を握った。
「あれは、あれを書いたヤツは悪魔だ」
ユーリはそう言うと、同時に、1枚の紙を志津香に渡した。
「これは……?」
「気づかなかったようだ、な。……いや、ひょっとしたら最初に読んだ者には見えないのか? ……それは判らないが、あの魔道書の最後のページ。この時空転移の魔法を記されている魔道書の封印されていたページだ」
ユーリがそう言うと、志津香は震える手でその紙切れを広げた。文字は大きく長くは無い。だから、直ぐに判った。
ユーリがあの時言っていた≪この先≫と言う意味も、これを書いた者は、悪魔だと言った意味も。
「そ、そんな……」
志津香は、呆然とし立ち尽くした。
その時、一陣の風が舞う。
風は志津香から紙切れを奪い去り、そして岩場に当たって止まった。こちらに文字を見せる形で。
『魔法を発動させた時点で死んでいる者は生き返らない』
『過去に向かった者の手で、過去を変えることは出来ない』
過去に来た事。
その全てがこれらの文で
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