閑話4 歌う役人
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、そういう様子ではなく至って真面目な様子だと判断した。
「よく分からんが、歌うしか無えみてえだな。」
「ああ、このままじゃどうせ負けるんだ。だったらお役人様の言うことを聞くのもええかもしれんな。」
街の人たちはやる気になってきている。
そう見た役人が叫ぶ。
「よし!では歌うぞお!おれのあとに続いて歌ええええ!
やあってやろうぜえええ!!」
『おおおおおおお!』
「いくぞお!おれはとことん止まらねえ!やあってやるぜええええ!」
『やあってやるぜえええええ!』
そう叫んでから歌う。
ああ、ああ、ああ!なんだ、この昂揚感は、なんだ、この闘争心は!
これが俺か。これが俺たちか!
いつも温和だった街のやつらが今では戦士のような顔をしている。
そう変えるほどのものがこの歌にはあるのだろう。
なんせこの歌は今の俺たちに相応しいからだ。
これは、強大な敵に立ち向かう者を鼓舞する歌だ。
そして、覚悟を固め、敵を打ち倒す。
生まれ育った故郷を、大切な人を、己自身の誇りを守るために!
そのための歌だ。
そして、そんなおれも、賊共からこの街を、妻を、己の誇りを守るために立ち向かう!
さあ見せてやるぞ、賊共!
この街に攻め入ったことを、後悔させてやる!
「頭あ。街が見えてきましたぜ。」
部下がそう報告してくる。
そしておれも街が見えたのを確認した。
あの街には事前に偵察を送っていたので、ある程度の戦力は知っていた。
戦えるのはせいぜい100ほどとのことだ。
この辺の軍も駆けつける頃にはあの街はもう、おれらのもんだろう。
軍のことは、軍が来るまでには決めとけばいい。
だから、美味い酒や女のことを考えよう。
そう思っていたが、
「頭あ。街のやつらが出てきたみたいですぜ。」
「ああ?」
部下の報告で街の方を見る。
確かに街から出て来てる。
だが、数ではこちらが遥かに上だ。数を利用して囲んで殺せばいい。
そう考え部下達に
「野郎ども!よく聞け!街のやつらが攻めてきたみてえだが、数はこっちのが遥かに上なんだ!数に任せて囲んで殺しゃあいい!いいな!」
指示をだす。
『ヘイ!』
部下たちはそう返事を返す。
馬鹿なやつらだ。皆殺しにしてやる。
そう思った。
そう思ってしまった。
「な、なんだあいつら?!」
やつらが近づくにつれてやつらの異常さが分かるようになる。
やつらの1人1人が死ぬのを恐れて無え。むしろ勇んで向かってきやがる。
死ぬのが怖くねえのか?!
そして、狙いも分かった。
やつらは先頭の馬に乗った男を筆頭におれ目掛けて突撃して来てやがる。
てことはこの勢いを止めて囲んじまえば皆殺しにできる。
だが、あの先頭のやつを筆頭にして、士気が高い。
そしてなによりも、あの先頭のや
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