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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
85話
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の砲口とともに前方に指向するや、間髪入れずに3つの口からメガ粒子の咆哮を屹立させた。
 ほぼゼロ距離の砲撃。砲撃の寸前でスラストリバースした白い『ガンダム』が身体を捩じるようにして、閃く粒子の光軸のうちハイパービームサーベルから吐き出されたメガ粒子の砲撃を躱す。N-B.R.Dの閃光は肱から先を喪った左腕の肩の装甲を掠め、剣で生肉を切り裂いたかのような真紅の創傷を抉っていく。
「戯言ばかりを並べ立てるな! 俺がニュータイプな筈が―――!」
(じゃない、と? 随分と間抜けなことだな? そのN-B.R.Dの計器が貴様のニュータイプの素養をモニターするためのものとも知らずに!)
「何を―――」
 言っている―――。
 咽喉元まで声がせり上がって、クレイはその声を飲み込んだ。自分の左手側、丁度目線の高さに設置されたディスプレイ上の機器は、右端の方で何かの光を点滅させ、酷く卑屈そうに自分が稼働していることを主張していた。
(新型兵器の実証試験など貴様をいい気分にさせるだけの玩具にすぎん。そんなものに幾許かでもプライドを感じていたなら、とんだお笑い草だな)
 白い『ガンダム』が右腕のビームライフルを構える。指向からトリガータイミングまでは秒ほどの猶予すらなく、コクピット目掛けて黒々した孔から眩い閃光が迸った。
 AMBACとバーニアによる緊急回避をかけながら、クレイはその負荷Gに脳みそが揺さぶられ、視界の焦点部分に盲斑が重なっていくのを感じた。
 最初から違和感は、あった。
 何故俺なんだ、と。
 試験兵器の実証には腕の良さが要求される。適任は、いくらでも―――。
 白い『ガンダム』がスラスターを焚き、一気に相対距離の間隙を切り裂く。
 裂帛の気合いと共に突き出されたバヨネットをハルバードの穂先で受け止める。日輪のように押し広がる干渉光、弾けたメガ粒子が機体の表面に付着し、ガンダニウム合金の装甲に赤い班を焼いていく。
 相手の言葉を聞くな、と誰かが叫ぶ。聞く必要はない、ただのヒステリーでしかない、と頭の中で自分のような誰かのような声が乱反射し、脳神経を出鱈目に駆けまわっていく。
 だが、と頭の皮相から嫌に明敏な形を持った言葉が脳髄の奥へと突き刺さっていく。その声に釣られるようにして、クレイは、音声だけの通信ウィンドウに視線をやった。
 沈黙しかなかった。
 無線通信がつながったまま、じりじりと照り付けるような音だけが嫌に鼓膜を焼き付けていく。
 その声が、語られない声なき言葉が全てを語っていた。
(貴様の身体に起きている変調こそまさにサイコ・インテグラと呼ばれるサイコミュシステムによる弊害だ。時間軸上の身体感覚を積分することで強制的に知覚域を拡大させ、擬似的なニュータイプあるいはニュータイプの能力そのものを拡大させるそのシステムは、
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