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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
51話
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を作って応えた。
 スロットルを全開に。残りの推進剤の量その他もろもろ全て把握し、クレイはフットペダルを破壊する勢いで踏み込んだ。
 爆発的な閃光を迸らせた《ガンダムMk-V》の背後で、白の《ハイザック》の背は、行け、とだけ語っていた。
 ※
 真紅の《ガンダムMk-V》が後方へそれていく。その姿を見送る暇は、無かった。
「《FAZZ》は下がれ! 格闘戦に持ち込まれたらデカブツじゃ対応できないぞ!」
 鋭い声を迸らせる。
 ライフルの筒先から奔ったビームをシールドで防ぎ、ビームソードをぎらつかせる《リゲルグ》が相対距離を皆無にする
《ハイザック》が上段からビームサーベルを振り落し、《リゲルグ》が横なぎにビームアックスを払う。サーベルの接触と同時に防眩フィルターでも防ぎきれないほどの干渉光が迸り、琳霞の視界を鮮烈の白に塗りつぶす。その白い海原の向こうで毒々しいまでに単眼を閃かせる、《ゲルググ》の、凛然、とした、禍々しい、顔―――。
 出力差で弾き飛ばされた瞬間に、負荷Gをかみ殺しながらその勢いのままに《ハイザック》の左脚を瞬時に振り上げる。弧を描いた一撃が《リゲルグ》の右腕に直撃し、アサルトライフルを吹き飛ばしていった。
 そのままビームライフルの照準を《リゲルグ》に重ね―――。
 あ、と―――やけに呆気なく―――思った。
 視界の中、《FAZZ》の火砲を躱しながら、腰から引き抜いシュツルム・ファウストを掲げた《リゲルグ》の姿が在った。
 琳霞がそれを防げたのは必然的に偶然だった。咄嗟に《ハイザック》の身をよじらせ、左腕の曲面で構成されるシールドで何とか防御したのだ。
 だが、所詮悪あがきだった。射出されシールドに弾頭が直撃―――超高圧力に晒され、液体に擬態した金属が超高速で噴射、冷然とした物理法則による物の支配性がシールドに易々と風穴を穿つ。弾頭はそのまま爆破し、シールドごと左腕を根本から?ぎ取っていった。
 途方もない衝撃がコクピットの中を襲った。ショックアブソーバーが気休めにしか感じられないほどの振動の中、琳霞は腹部に鋭利な疼痛が走ったのを知覚した。
 さらに背中を玄翁で打っ叩くような衝撃に、彼女は何か液体を吐き出した。デブリに叩き付けられた―――ディスプレイに機体損傷のビープ音が響き渡る。ヘルメットの中を赤い液が舞う中、漠然とした思考が頭の中に薄く広がっていく。
 腹の中から口へとせり上がってくる温い液を飲み込み、腹に何かの破片が突き刺さって血塗れになっているのを目視で確認する。視界が赤い―――眼底が破壊されて出血でもしているのだろう。
 サイド3出身の彼女は、赤く染まった視界の中で《リゲルグ》が《ハイザック》を串刺しにし、クレイとジゼルが逃れていった方へと視線を向けるのを、見た。
 任務だから、と喋った自分の声が
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