42話
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L1ラグランジュポイント・茨の園。壊滅した旧サイド5のコロニーや、コロニー建設時に発生した宇宙ゴミ、ルナ・ツーから遥々やってきたと思われる岩塊やら一年戦争時に破損した兵器の残骸を密集させることで作られたデラーズ・フリートのかつての拠点は、小規模ながらMSの生産や簡易的なMSの開発を行うだけの工業力を持つ。一方、その居住性は劣悪の一言であり、元デラーズ・フリートの構成員だった男によれば、廃コロニーの中に設営された居住ブロックに赴くことは滅多になく、そのほとんどは艦の中で過ごしたという。無重力は同じだが、低酸素で思考がぼんやりするのは確かに住居には適さないな、とマクスウェルは思った。
茨の園の一画、MSの格納庫として使われる区画には、マクスウェルの《リゲルグ》と、プルートの《ドーベン・ウルフ》、そしてエイリィの機体が立ち並んでいた。格納庫とはいってもほとんどふきっさらしに棒立ちしているだけという粗末さだが、中には宇宙空間にただ係留されているだけという機体もあることを鑑みれば、十分な好待遇である。整備兵が《ズサ》の大型複合ブースターユニットを本隊から切り離している様をなんともなしに眺めていると、厳つい男は申し訳なさげに身を竦ませていた。
「すみませんね、このような設備しかなく」
現茨の現責任者は、心底申し訳なさそうな顔で頭を下げた。設備も確かに劣悪だ。だが、それと同じほどに装備も酷いものだった。マクスウェルの《リゲルグ》の隣にはMS-06F2やら、MS-09R-2、MS-09F等一年戦争時に開発されたMSがほとんどだ。ジオン系のMSが並ぶ中、茨の園に訪れた際外に係留されていたMSはRGM-79NやらRGM-79SC、RGM-79R等《ジム》のバリエーションが多かったことを思い出した。まるでMSの博覧会のようだ。宙賊、ということで運用する機体に拘っている余裕はないのだろう。ネオ・ジオンも他人事とは言えないだけに、マクスウェルも内心顔色を曇らせたが、それは表情には出さなかった。
「良いんですよ。我々ネオ・ジオンも自分たちの都合で貴方方を頼ったのですから」
男が顔色に影を差す。マクスウェルは首を横に振った。
「それに過ぎたことです。総帥もあわよくばとし考えていたことですから。それに、我らの総帥の機体も選定されまし。我々もそれほどいい装備を持ってきたわけではありませんので―――」
視線を映した。エイリィの《リゲルグ》の隣には、濃緑色に染められたAMX-003《ガザC》が数機、その上位機種である《ガザD》が立ち並ぶ。《ズサ》やら《ガルス》系の機体も何機ほどか立ち並んでいる―――が、地球連邦軍の正面装備である《ジムV》、まして《ジェガン》と戦うには明らかに力不足と言わざるを得ない機体だった。
「MP兵装を装備する機体というだけで十分ですよ。茨の園の設
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