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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
41話
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取ろうとしたなら足を引っ張るのだ。通例、国防軍は最前線に赴くと同時に補給線の保全などが主な任務を担うことが多い。
 試験部隊の護衛もまた、そうした「比較的過酷になることが少ない任務」のうちの1つというわけなのだろう―――。
「貴様たちの中隊は『本国』で彼らとの模擬戦闘を最もこなしている。ニューエドワーズでの連携度が最も高いのも貴様たちというわけだ」
「は―――」
「あと、中尉はどうやらあの試験部隊に気になる相手がいるそうじゃないか」
「は?」
 大隊長が俗っぽい笑みを浮かべる。
「よく気にかけているそうじゃないか。前なんて夜中に2人で居たんだろ?」
「あぁ、ハイデガー少尉のことで…」
 琳霞は内心溜息を吐いた。
 クレイとあの基地の裏手の丘の上で喋った後、酔っぱらった琳霞はそのまま眠ってしまい、国防軍が借りている宿舎にクィーンを運輸する際の様式で―――簡単に言えば『お姫様抱っこ』して運ぶという凶行を敢行し、国防軍の中で奇妙な噂になっていた。
 もちろん琳霞にその気はない。ミリほども無い。Q.E.D証明完了。
 とにかく、そういう感情は抱いていないのだ。
「少尉に特別な感情を抱いた覚えはありません。もしあったとしても任務に私情を挟むわけがありません」
「冗談だよ冗談」
 慌てたように身を竦ませる大隊長。琳霞はふん、と鼻を鳴らした。
「貴様にはいい経験になるだろうと思ってな」
 顔色を真面目にした大隊長は肱をテーブルにつき、含みのある視線を投げた。
「将来は教導隊になるのだろう? その仕事ぶりを間近で見るのも良いだろう」
 「まぁ試験武装の運用など本来の教導隊はしないだろうがね」笑った大隊長に、琳霞も笑みを浮かべて、感謝の意思表示をした。
「後後ブリーフィングで通達することになるだろうが、中尉には先に伝えておこうと思ってな―――わざわざすまなかった」
「いえ、ありがとうございます」
「それでは訓練に励んでくれ」
 ぱりっとした敬礼をする。大隊長が返礼し、先に手を下ろしたのを確認して敬礼を解くと、踵を返して歩みを進める。
 ドアの手前まで来て、振り返ろうとしたときに、大隊長が琳霞を呼び止めた。
「そういえばUC.100年の式典でMSの展示をするのは知っているか?」
 大隊長の顔はいつもの柔和さだった。
 自治権放棄の式典の、ことだろう。内容についてあまり調べてもいなかった琳霞は、いえ、と首を横に振った。
「パフォーマンスで実機を稼働させる予定らしいんだがな、その中に14ナンバーもあるらしい」
「《ゲルググ》ですか?」
 琳霞の声が上ずったのを、大隊長はしっかりと把握し、大人びた笑みを浮かべて肯いた。
 《ゲルググ》。それは琳霞にとって思い入れのある機体なのだ。
 厳つい体躯に愛らしい豚顔という奇妙なギ
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