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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
41話
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。プロジェクターが投影スクリーンに映し出した映像は、L1ラグランジュポイントに存在する旧デラーズ・フリートの拠点『茨の園』の戦略マップだった。
「わざわざ説明するまでも無いとは思うが、今年連邦政府が発表した防衛整備計画に伴って再びコロニー復興計画を再始動することとなった。壊滅したまま放置された新生サイド4が『ルウム』から『フロンティア』へと改められることになったのは、諸君らの記憶にも新しいだろう。本格的にL1ラグランジュで新造コロニーを建設するに際、障碍となったのが茨の園だ」
 ポールが降り返る。ブリーフィングルームに集う人間たちも、一斉に茨の園の戦略マップを見やった。
 茨の園。一年戦争最後の戦いとなったア・バオア・クー戦の後、連邦軍に降伏するのを良しとしなかった旧ジオン公国軍残党は、地球圏から遠く隔たった小惑星地帯へと向かった勢力と、地球圏にとどまり、地球連邦軍との戦闘を望む抗戦派に分かれることとなる。ギレン・ザビに心酔したエギーユ・デラーズもそうした抗戦派の1人であり、UC.0081年にデラーズ・フリートを結成。2年後のUC.0083年の宣戦布告と「星の屑作戦」は公には秘匿されることとなり、その全貌が明らかにされたのはつい最近のことだ。一年戦争後最大の紛争となった『デラーズ紛争』の首謀者たるデラーズ・フリートの拠点『茨の園』が、L1ラグランジュポイントに存在していたのだ。
 クソッタレなテロリストども―――琳霞の声が残響となって鼓膜を揺らした。ジオン共和国国防軍の面々の姿は、前列に座っているが故にすぐに見つかったが、薄暗いせいで誰が琳霞なのかはわからなかった。
 サイド3出身の人々はどう受け取っているのだろう。そもそも彼らが作戦に参加した理由は、形式上は地球連邦軍とかつてのジオン公国軍を母体とした共和国国防軍の固い結束などとは言われているが、その内実は地球連邦政府への帰属を示すためでしかない。琳霞のような人ならともかく、サイド3ではナショナリズムが称揚されているという。一歩間違えればクーデターでも起きかねないのではないか―――そんなことはお偉いさんが考えている筈だが、それでも多少は気にしてしまうものだ。
 ―――なるほど、と理解した。新生サイド4の開発に手を出せなかったのも、同ラグランジュの茨の園の存在が障碍だったということだ。下手にコロニー公社の調査が立ち入れば、葬ったはずのデラーズ紛争の闇が噴出しかねない。
「理由は従来まで無人地帯だった茨の園を武装勢力が不法に占領している点にある。度重なる降伏勧告を無視、地球連邦政府に対し武力行使を辞さない態度を表明した。武力衝突は避けられない事態だ。我々の任務は茨の園を不法に占拠する敵性武装勢力を排除、新生サイド4フロンティアの秩序の回復にある」
 一端そこで話をきったポールは壇の上に置いてあっ
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