41話
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レイの気持ちが間違ってるって言いたいわけじゃないよ。もしあの子が頼ってきたら一杯話を聞いてあげてね」
ジゼルが微笑を浮かべる。はい、とクレイが頷くと、ジゼルは荒々しくクレイの髪をぐしゃぐしゃにした。
ブリーフィングルームを見回す。クレイの周辺はともかく、だだっ広い『講義室』には彼女の姿は無かった。フェニクスの姿も無いのは、多分ウォースパイト機動打撃群司令やらお偉いさんとの話し合いに出ているためだ―――。
と、視線を巡らせていたクレイは、入り口から男が入ってくるのを確認した。
黒髪で、東洋人に特徴的な幼げな顔立ちながらがっちりとした体つきをした男―――攸人はブリーフィングルームに入ると、きょろきょろと視線を巡らせた。呼ぼうかどうか迷っているうちに、クレイの姿を見つけた攸人は入り口付近でぴょんぴょんと跳ねた。
「遅かったな?」
オーウェンは特に表情も変えずに、通路を降りてきた攸人に声をかけた。
「寝てたんだ」
てへ、と舌を出す攸人。「お前って奴は……」とクレイが言いかけると、クレイの小脇をヴィルケイが小突いた。
「お偉いさん来なすったぜ」
くいと顎をしゃくる。攸人が入ってきた上階の入り口と異なり、部屋の隅っこの物々しいドアが開く。入ってきた男は、案外ひょろひょろとしていたが、纏っていた雰囲気はなるほど参謀のそれだった。
襟章は赤地に黄色のラインが2本。2つの星が煌めくそれは、中佐を示す階級章だ。佐官クラスともなれば基本雲の上の人間である。自然、クレイは身を引き締めた。
男が壇の上に立つ。それを合図に、ブリーフィングルームの人間全員が立ち上がり、男に敬礼をおくった。中佐は特にそれに圧倒された風でもなく敬礼を返すと、すぐに身振りで座るように指示する。
「ウォースパイト機動打撃群司令補佐官のポール・カニンガン中佐だ。初見の人間もちらほら居るだろうが、自己紹介は資料に目を通しておいてもらう」
ポールと名乗った男がクレイたちのほうを一瞥した後、逆側へと視線を向ける。クレイもその視線を追うように、向こう側へと目を向けた。
薄暗がりの中で、金髪を撫でつけるようにしたオールバックの男が目に入った。同じニューエドワーズの試験部隊で、今回の実戦試験に参加する部隊だ。確か―――パラパラとクレイは手許のタブレット端末の資料を探索した。
AN-02。《ゴッドフリート》と暫定的に愛称が付けられた、《ジェガン》の強化発展機の実戦実証を行う部隊だ。配備されている機体は《ゴッドフリート》2機にベンチマークに《ガンダムMk-V》のインコム非装備型が2機―――隊長は、ケネス・スレッグ少佐とあった。
「さて、では今回の作戦の概要を説明しよう」
男が壇の上に置いてあったリモコンを操作すると、鈍い音を立てながら大型のスクリーンが天井から展開する
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