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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
34話
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れる。
 触りが繊細すぎる。ゆっくりと身体の内側に浸透していくような指の躍動、唇の誘惑、舌先の淫猥。その1つ1つが少女の神経を解きほぐしていく。
 何かから逃れるように身体を身もだえさせる。内腿を指先で擽る右手を退けるように掴んでも、思うように力が入らずただ手を重ねるだけしかできず、そのごつごつした大きな手の存在を知覚するだけだった。
 どうしてこんなに自分は快の情に身を浸しているのかわからなかった。だって私はこの男と知り合ってまだ―――。
「―――ひゃ!?」
 筋肉が決壊する。今までゆっくりと皮膚を溶かすようにして、じっくりとプルートという少女の肉体に触れていたのに、その触り方はあまりに強引だった。
 今まで左肩を掴んでいただけの左手がそのまま彼女の未発達な部位を包む。無骨な手が彼女の敏感な部位を掠り、プルートが悲鳴にも似た悦の声を上げる。男の手は少女のふくらみ始めたばかりの乳房をすっぽりと覆い、指が不規則にうねる度に背筋が痙攣する―――。
 太股に触れていた手が不意に離れた、と思ったときには、男の右手が腋の下から競泳水着の内側へと潜り込んでいった。ぴったりと肌に張り付く競泳水着の裏側に素早く滑り込んだ手がもう片方の薄い丘を捉え、無思慮な掌が未成熟な女の器官を愛撫する。
 少女の薄く張った肉に指の腹が食い込む。
 指がまるで爬虫類のように肌の上を蠢き、その度に頭蓋の奥が麻痺するような電撃が閃く。
 指の動きが止まる。ほっと息を吐くのも束の間、人差し指と親指だけが、酷く緩慢な動作で肌の上を、少しだけ盛り上がった肉の丘の上へと昇っていく。
 ゆっくりと。ゆっくりと。ゆっくり、と―――。
 下唇を噛む。ぎゅっと目を瞑る。
「なぁ、もう、やめ―――」
 なんとか身動ぎしながら、首だけで振り返ったプルートは、自分の目に入った光景の意味を理解できなかった。
 クレイは、寝ていた。クレイ・ハイデガーは、寝相だけでプルートを抱いていたのだ。それだけでも変な話だが、彼は、寝ながら、目尻から雫を流していた。焚火の色を受け、赤く火照ったクレイの顔を伝っていく液体が微かに光を孕む。
 まるで子どもだな、と思った。それは悲哀に暮れる青年の黄昏ではなく、揺籃の幼子が無力なままに涙を流しているようだった。
 クレイの唇が微かに蠢動する。入り組んだ内蔵の奥から、脳髄の奥深くから染み出してきたような?い声が鼓膜に触れた。
 お、か、あ、さ、ん―――?
 心臓が不定に痙攣した。逆流した血液が頭に回り、一気に思考を奪っていく。
 胸が痛い。でも不快じゃない。こんな感情、知らない―――。
 男の名前を口にする。自分の舌の上で踊った言葉は、声に出してみれば驚くほど滑らかな口当たりだった。
 舌が麻痺する。眩暈がする。
 もっと、先まで、し―――。

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