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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
いの
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捨てる。緊張が幾分和らいだ。印を組み、精神エネルギーを集め、対象に向ける。
 ――忍法・心転身の術!
 意識が乗り移った先は音の忍びだった――というのはあたりまえだろうか。何にせよ術が成功したことに一安心し、トラップに動揺し、取り乱したふりでクナイを投げる。

「誰だッッ!?」
「おい、よせ!」

 そしてその方向はちょうど、トラップを密に張り巡らしたところだ。一斉に飛んでくるクナイの群れをかわそうとして転んだふりをし、二人ほどを地面に突き飛ばす。悪態をつきながらも空中で姿勢を立て直そうとする彼らだが、仕掛けておいたワイヤーと衝突し、さらなる爆発音が森の中で轟く。突き飛ばすだけならクナイで突き刺すよりもずっと簡単だ。ゆえに下方にはかなりの数のワイヤーが仕掛けられてある。
 ――私は皆ほど強くはないかもしれないし、皆よりずっとずっと弱いかもしれない、でも

「くそっ、一体なんなんだ――!?」

 木の幹を拳で叩き、掌に隠した千本を投擲してワイヤーを切る。飛来した丸太を避けて、着地失敗をした振りをして更に一人を蹴り飛ばした。また爆発音。
 ――だからって負けていい理由には、ならない!
 そこで内一人が、いのの演技に気づいた。どうやら彼が、リーダーのようだ。警戒した顔つきで近寄ってくる。喉元にクナイを突きつけられた。

「お前、裏切っていたのか」

 あがるどよめき、向けられる殺意。
 演技しても無駄だ、そう悟ったいのは笑って、高らかに言い放った。

「ああ、その通りだ!!」

 叫んで、心転身を解除。自分の体に戻り、間一髪だったわねと喉を切り裂かれた音忍が落下していくのを視界にとどめながら呟き、そしてそのリーダーらしき者に心転身を行う。

「お前も裏切り者だろう」

 振り返ってもう一人の首根っこを掴み、その首にクナイを突き立てる。先ほど一人を罠にはめて殺したとはいえ、直接手を下すのは初めてだった。心臓が高鳴り、同時に任務で駆り立てられている彼らに一抹の同情心すら催す。
 しかし、容赦はしない。
 今しがた殺したばかりの男の体を投げ飛ばす。血のついたクナイ片手に後ろの者どもを振り返る――

「おい、女だ! あっちの木の虚に女がいるぞっ!」
「――!」

 気づかれた。
 感知系の男であるらしい彼が指差すいの本体のいる方向に全員が視線を向け、そして起爆札つきのクナイを放った。
 ――やばいっ
 心転身を解除して本体に戻り、急いで虚から脱出する。爆破された木の爆風に揺らめく金髪と紫の衣服が音忍の視界のど真ん中に躍り出る。意識を戻したリーダーの殺意のこもった視線がこちらに向けられる。
 一気に囲まれてしまった。先ほどやったのは五人、残りは四人。しかし先ほどの五人は心転身とトラップのあわせ技でな
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