第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
いの
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。ちょっとでもいいから木ノ葉の助けになりたい」
「そんなこと言ったって――!」
「大丈夫。アカデミー時代にはマナがトラップしかけるのよく見てたし、下忍になってからはシカマルがトラップしかけるのもよく見てた。トラップくらいなら私にも張れるわ。キバ、巻物の中に武具口寄せの術式があるでしょ。それ、頂戴。私がなんとかする」
「でも、いの――」
それでも反対し続けるキバとチョウジに、痺れを切らしたかのようにいのが怒鳴った。
「死ぬの怖いけど。死にたくないけど! でもサクラは死の森で音忍にたった一人で勇敢に立ち向かっていた。でも私は隠れて震えていただけ。そんなのもういやなの! 私もう、逃げないし、隠れない。例え足が震えて立てなくなっても、隠れない! 戦い続ける! 奴らの心も体も、かき乱してやる! ――今決めたの! 私は弱くて、二人には私が信用できないかもしれない、でも!」
いのの口元に笑みが広がっていった。こわばった笑顔ではなく、自然な笑顔だった。
「私たちに残された道って、例えどんなに弱くても、我武者羅にぶつかってくことくらいだと思うから」
いのがキバの手から巻物を奪い取った。青い瞳は爛々と煌き、両手はぎゅっと握り締められている。
「私たちの故郷がかかってるのよ! もうグダグダ言ってられないでしょ!」
叫んでいのは踵を返すと、前方に向かって全力疾走を始めた。例え弱くても我武者羅にぶつかっていくこと。それが今の自分たちに残された道だ。相手がどんなに強くて、自分がどんなに弱くても、全力でぶつかっていかなければ。里の危機を里の者が救わないでどうする?
巻物を開く指は強張っていたけれど、でもこのまま引き下がるわけにはいかなかった。
武具を口寄せして、トラップを張っていく。シカマルならどう考えただろうか、サクラならどうしただろうか、チョウジなら何をしようと思うだろうか、サスケならどんな応用をしただろうか。思考を巡らせながらやっていく。
「焦らない。焦らない。焦らない」
焦りすぎると余計にトラップが張りづらくなる。落ち着いて、でも迅速に。一通り張り終えてから、ぽっかりと開いた木の虚の中にもぐりこみ、敵を待つ。クナイで樹皮の一部を切り落とし、外部の様子を伺う。
深呼吸。焦るな。焦るな。焦るな。焦ってはいけない。緊張しても、焦ってはいけない。怯えても、焦ってはいけないと、そう自分に言い聞かせる。
不意に視界に入った音符マークの額宛て。いのはワイヤーを一本断ち切った。
「――ッ!?」
「な、なんだッ!?」
爆発する起爆札に動揺の声があがる。これはただの「縛り」だ。動き回る彼らを、術の範囲内にいれるためだけの。
――見てわからない? トラップよ
心の中で、馬鹿にしたような言葉を吐き
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