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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
30話
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がうまいのかが気になってここ周辺のコンビニの焼きそばパンを買って開けたんだが」
 コンビニの袋をシートにして、コッペパンに挟まれたソース焼きそばがてらてらと陽光を受けて光を放っていた。4つ並んだそれらを見比べたマクスウェルは、途方に暮れたようにもう一度エイリィを見上げて、肩を竦めて見せた。
「どれがどこのコンビニのかさっぱりになってしまった」
 確かに、ただむき出しに置かれた焼きそばパンは多少の違いはあれども、ほとんど違いは判らなかった。
「どこのコンビニかわかるようにパンが入っていたビニール袋を下に敷くとかすればよかったのでは?」
 肩を落として隊長を見返すと、眉間に皺を寄せたマクスウェルが腕を組む。
「それでは公平性が保たれんと思った次第」
「はぁ……」
 うーむ、と唸りながら食べかけの焼きそばパンを口に押し込むマクスウェル。悩みは継続中だが、焼きそばパンの味には納得したようだ。固く結んだ眉も少しだけ緩んだ。
「なんだその―――クマ? みたいなものは」
 マクスウェルの視線はエイリィのハンドバッグから顔を出す黒々とした物体に注がれているらしかった。
「買ってもらったんです。前から好きなんですよね」
 「あぁ―――」マクスウェルはやや得意げな顔になった。
「リア王? とかいう奴だな。俺も知っている」
 うんうんと頷く―――リア充と言いたかったのだろうか? とことん真面目なはずなのにどこか抜けた男―――。
「リア王ビームに焼かれて蒸発しろ!」
「―――――リア王が何をしたっていうんですか」
「何? こういうのがテンプレなのではないか?」
「違いますよ。無効」
 む、そうか、ときまり悪そうにもぞもぞしたマクスウェルは、無理やり話題を変えるためにとてもわざとらしく咳払いのような詰まった声を出した。
「それで、彼はなんと―――あ、これ食うか?」
 残りの焼きそばパンのファランクスと戦闘を始めたマクスウェルが言う。エイリィもバッグをベッドに放り出し、腰を下ろし、マクスウェルが差し出してきた新品のコンビニのパンを受け取った。
 サバの塩焼きバーガー―――とりあえず紙の包みを破いた。
「いえ、特に。やはり『あっち』はあっちで独自に動くようです―――あ、美味しい」
 だろうな、と焼きそばパンのレギオンを鎮圧し、手を叩いた隊長が険しい顔をする。元々予定していたわけでもなく、望み薄とはいえ期待していたのだが。ペットボトルのコーラを飲み込んだマクスウェルは、憤懣やるかたないといった風に、サーモンソテーを挟んだパンを開けた。軍人の楽しみは古来より食事とセックスしかないが、マクスウェルのメーターはほとんど食事に振りきれていた。いかつい顔立ちの男の趣味は、ほとんど食事しかないのである。エイリィはどちらも充足していた。
「出資者は何をお
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