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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
25話
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に《リゼル》のパイロットも」
 部屋の空気がざわめく。なるほど年齢なぞ誰も気にしないデータだが、《ガンダム》のパイロットは22歳で《リゼル》のパイロットは23歳。どちらも士官学校を卒業したばかりの年齢だ。
 問題は、この2人が教導隊の部隊員であるということだ。
 教導隊。
 実戦で鍛え上げられたエースパイロットのみが名乗ることを許される誉れの称号。もちろん、士官学校を出てすぐなれないわけではない。名門オフショー家の中でも傑物と評されたジョッシュは、技能評価試験でも最上位に位置したという。それほどの腕があるなら可能だろう。あるいは、士官学校を出てすぐスカウトを受けた、とか。どちらにせよ、稀な例である。
 その稀な例の体現者が、2人。教導隊を目指した己であるからこそ、琳霞はその2人に身震いするものを覚えた。
 しかし、その事実を正確にとらえているのは琳霞と中隊長だけだったようだ。何人かは顔を露骨に顰めた。
「つまり、新人教育の相手を宛がわれたと?」
「ま、そゆこと」
 自分で言ってむっとしたが、顔には出さないように努めた。激情に駆られることそのものは悪いことではない。志気の向上につなげられればいいのだ―――それが暴走してしまってはマイナスだが。そうして手綱を握るのが、中隊長と小隊長である自分の役目である。いよいよ顔を赤くした数人に視線を流してから、咳払いをした。
「言うまでもないだろうけど、新任だからってあんたら舐めんじゃないわよ。《ガンダム》のパイロットとは、直接やり合ったことあるけど半端じゃない。ORX-013も実戦運用はほとんどないし第4世代機にしてはパッとしないけど、派手さはない分操作性なんかは他の同世代機に比べて格段に良いってことでもあるからね」
 そして、と前置きし、琳霞も資料のページを繰った。
「《リゼル》のパイロットは士官学校卒業したての分際で教導隊にスカウトを受けてる。どれだけ低く腕を見積もっても、碌に実戦証明の為されていないRGZ-93EMPの試験運用を任されてるってことは忘れないこと」
 もう一人、2型の《ゼータプラス》のパイロットについては言うまでも無かろう。異彩を放つ2人の例外とは異なるせいで何故か色褪せて見えるが、全うな教導隊員であるからしてその技量に疑問を差し込む余地はない。いや、一番の難関こそこのパイロットと《ゼータプラス》になるだろう、と思う。先行量産型の《リゼル》や、元々サナリィのNT兵装の研究目的兼次世代機開発のデータ収集機として急きょ拵えられ、独自の改修が施された《ガンダムMk-V》と異なり、MSZ-006C1/2は完全な全規模量産機だ。さしずめ《リゼル》のベンチマークといったところか?
 派手さや奇抜さに目を奪われ、本当に厄介な相手を見落とす愚は犯すまい。
 改めて、自分たちが相対する敵の
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