24話
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? あーまぁ、ああいう団体さんがそれなりに来るからね。ちょっとだけ」
「教導に来るっていうのは?」
「そういえばそんな話を―――ってことは貴方が?」
彼女の顔色がさっと変わるが、変化を攸人は特に気にしなかった。
「あんまし自分が連邦軍人だって言わないほうがいいよ。最近ちょっと物騒だからね」
声を潜めた店員の女が店の奥の一団を見やる。
フランチェスカで有名な新生サイド5に次ぐ観光サイドとして有名なサイド3だが、一方、特に軍部において近年国粋主義的な傾向が強まっている―――というのは、珍しい情報でもない。流石に観光者に対する暴行に及ぶまでに過激でこそないが、純粋な思想とは時に軽々と一線を越えてしまいがちだという事実は歴史を紐解くまでもなく了解される事実だろう。ただでさえ反感を買っている地球連邦軍、しかも戦闘において驕慢とすら言える教導隊のやり口を快く思わない軍人が、ノコノコ一人で自分たちのテリトリーに入ってきたら―――。
わかってるよ、と頷く。『風の会』とかいう国粋主義の団体が幅を利かせている現在、深夜に単独で行動するのは危険なのだ。にも関わらず、攸人が女に喋ったのは、単にこの女は偏屈な思想のしがらみに囚われるような女じゃないという予感があったからである。そして、攸人の予感は的中していた。
「まぁ、俺んとこの隊長さんはジオンじゃちょっと有名人だから大丈夫だとは思うけどね」
「あら、そうなの?」
「軍人の間、ではね」
ふーん、と興味ありげに相槌を打つ。軍人が多いから、そういう事情に明るいと話のタネになる―――という以上の理由があることを、攸人はなんとなく理解していた。
ねぇ、と素っ気ない声色で彼女に声をかける。
「今夜、暇してる?」
早くも空になったジョッキを垂らすようにして揺らしながら、ちらと一瞥する―――顔を見るまでもない、と思った。女の方も特に素気ない様子で、そしてやはり素気ない素振りだったが、確かに肯定の意の微笑を浮かべた。
あいつもナンパの一つや二つ、すればいいのに―――カウンターに置いた雑誌を意識した。別に顔も悪いわけじゃない。自分から喋る質じゃないのは確かだが、聞き上手でもあるし。そして、クレイの要求水準の低さを鑑みれば、偏屈な選り好みさえしなければ1人や2人抱けると思うのだが。
「普段からそうやって軽いワケ?」
「いいや? 適当な女は抱かないよ」
「そういう言い方が軽いっていうんじゃない?」
「そんなことは無いよ」
言いかけ、背後の声が攸人の声を遮った。思わず振り返ると、攸人の目当ての人間と目が合う。よ、と挨拶するように手を上げた金髪の女性。
「ユートはこんな顔してタラシじゃないからね。結構純真だよ」
「お知り合い?」
まぁね。攸人の隣に腰掛けた彼女―――エイリィ・ネルソンは、言いな
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