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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
20話
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ったのは、基地の方から届いた透明な声色だった。
(こちらコマンドポスト、通信終わり。武運を祈る)
 合わせたように、携帯端末の通信が切れる。
 携帯端末をポケットに仕舞う手は、我知らず震えていた。
 振り返ったままのクレイの視線の先に、彼女を捉える。
 心臓はもう、今にも自圧のせいで圧潰しそうなほどに潰れては破裂を繰り返す。
 ちょこちょこと小走りで駆けてくる彼女は途中、門兵2人の前で綺麗な敬礼をしてみせる。返礼する大柄な男と、2言3言交わすと、彼女の紅い瞳がついとこちらを向く。
 気取られないように唾を飲み下す。心臓の拍動音が、冷静になろうとする理性をどやしつけるようだった。
「待った?」
「いや、さっき来たばかり」
 無邪気な笑みを浮かべる彼女―――エレアに対し、クレイはなるべく普段と同じように接するように努めた。そのせいで素っ気ない声色になったのを、やや悔やむ。
「今日は寒いね」
「最近寒い日が多いからな」
「こういうのって結構寒いんだね」
 言いながら、エレアは自分の穿く赤いチェック柄のミニスカートの端を摘まんで見せた。
 確かにミニスカートは寒い日は殊に堪えそうだ。スカートなぞ穿いたこともないクレイには実感として同意はできないが、間接的に下着を外部に露出させていると思えばおおよそ想像はつく。
 ―――エレアの出で立ちを見たクレイの脳裏には、先ほど愉快に真面目な声を上げていた男の顔があった。
 ミニのプリーツスカートにブラウンのブレザーからは白いブラウスが覗いていた。畢竟、ハイスクールのユニフォームを想起させる服装だった。そのあどけない出で立ちに反して、白い肌を覆うソックスはちょうど膝ほどまで届くタイプであり、ミニのスカートとの境界線に敷かれた絶対不可侵の領域には、ニーソックスのずり下がりを防ぐための黒いガーターベルトが横断していた。
 クレイ・ハイデガーはロリコンである。厳密に区分するとロリコンではないようだが、とにかくロリコンである。そんなことは部隊の全員がいつの間にか先刻承知という事態になっていたが、奴は士官学校時代からの知り合いだ。クレイのことはより詳細に―――具体的に言えば、どんな服装が好きだとか、下世話な話をすればどんな『プレイ』をしてみたいだと―――について熟知している。
 攸人の差し金だ―――恨めしく思ったのは、彼女の存在にドギマギしているという自分のわかりやすさから眼を逸らすためだった。
 ジャケット越しでもわかる豊かな二つの青りんご。
 スカートとニーソックスの間に見える艶めかしい肉のホライゾン。
 たかだかそれだけで欲情して勃起してしまう自分が哀れでならなかった―――ナボコフはニンフェットの定義を変えるべきだと思う。エレアは17歳というが、十分に彼女は悪魔的なニンフェットと言って問題な
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