19話
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「やっぱりデカいのがネックだよなぁ」
ガントリーに蹲る黒の《ガンダムMk-V》には、いつもの峻厳な面持はない。休んでいるようにも見える《ガンダムMk-V》の虚ろな瞳は、獏と惚けているに相違あるまい。
クレイが眺めるのはその《ガンダムMk-V》本体ではなく、アタッチメントを介して肩にぶら下がっているN-B.R.Dだ。
New、などという目新しげな名前の割に、その実単なるデカいだけのビームライフルである。新概念の実証武装といえば聞こえはいいが、実際使用してみるとわかる。メガ粒子の弾速・圧縮率を操作することで、貫通力や面破壊力を高める。その理論(エイドス)をこのビームライフル(ヒュレー)は内包しているわけだが、実射した限りでは実感できないといったところだ。サナリィとしても、そもそも未来世代の武装はどんなレイアウトにすべきか? という探索のための案のうちの一つという認識らしい―――。
「まぁあくまで冗長性の確保ってとこなんだけど。実際一般のビームライフルサイズにシステムを落とし込むのがかなりキツそうだからこうしてデカいんだ」
手元の資料に事細かにサインを入れ、あるいはメモを書き込んでいく。どうやら今は休憩中らしく、手軽な仕事をこなす紗夜は片手間ついでにクレイの雑談に応じていた。
あ、そうだ。
不意に顔を上げた紗夜の目がこちらを向く。
「せんせが提案した例のプラン、結構いい感じらしいよ」
年相応の幼さを感じさせる笑みを浮かべながら、クリアファイルの中の資料を淀みなく抜き取る。
受け取れば、以前クレイが機体改修に際してのレポートだ。
サナリィが《ガンダムMk-V》を次期主力機のテストベッドとしてアナハイムから供与してもらっている理由を挙げれば、まずもって第4世代機相当ながらかなり第2世代機を意識した機体設計であるという点がある。それゆえに生じる機体の開発冗長性に目をつけた―――そうして急きょ生産された《ガンダムMk-V》を運用しているのは何も『ゲシュペンスト』だけではない。身近なところではこの『ニューエドワーズ』の他部隊で、重力下では北米のグルームレイク基地や極東のシモキタ駐屯地やギフ駐屯地での試験運用がされているらしい。
そうして試験された《ガンダムMk-V》のネガを徹底的に洗い、データを得ては改修する。地球で、宇宙で行われているサナリィの一大プロジェクトの環の中にクレイもいる、ということだ。
「背中のサーベル部分に正式配備されるであろうN-B.R.Dを二門つけて、サーベルは別に…か。背中のビーム砲もAMBACの『舵』にして総合的な機動性の向上に繋げるってのはモニカも良いって言ってたよ」
「まぁ結構穴だらけだとは思うけど。最終的にあの玩具が理想のサイズまで落とし込まれたうえでさらに軽量化の上で、機体自体も18m以下にダウ
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