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機動戦士ガンダムMSV-エクリチュールの囁き-
10話
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なしていない。
 一瞬で砲身が展開し、シールド内のセンサーと連動してデブリの向こうの敵機を察知する。全天周囲モニターに映る敵機―――MS-14B《ゲルググ》に照準レティクルを重ね合わせ、メガ粒子を叩き込んだ。
 鋭利な閃光を放った灼熱の光軸が常闇の宇宙を裂き、コロニー資材ごと《ゲルググ》に殺到する。流石に敵も間抜けではない。デブリから身を翻した《ゲルググ》がビームの奔流から逃れ―――瞬間、《ゲルググ》の胴体を光のレイピアが串刺しにする。
 N-B.R.Dによる砲撃―――クレイ自身、ぎょっとした。
 普段使用するビーム砲と、明確な違いを見とめたわけではなかった。しかし、感触、あるいは感覚的なそれとして、クレイはそのメガ粒子の細剣が《ゲルググ》の装甲を鮮やかに貫いたのを感じたのだ。ビーム砲が直撃し、ぐじぐじに融解していくのではなく、まるで生身に刃を突き立てたがごとく―――ぶると身を震わせたクレイは、されど続けざまに鳴り響いた警報音に気を配った。
 3方向から。反射的にそれを理解すると同時に相対距離を把握。敵機種も同じと理解する。
 手前に《ギラ・ドーガ》が2機に、奥に《ガザ・C》が1機。《ガザ・C》の放った大出力の閃光を苦も無く後方に逸らし、N-B.R.Dの砲口を指向する―――それよりワンテンポ早く、前面に展開する《ギラ・ドーガ》でも左方―――やや奥の敵機目がけて、シールドに内蔵された対MSミサイルを放つ。バーニアの尾を引いたミサイルが《ギラ・ドーガ》の周囲に炸裂。直撃弾は無し―――クレイにしてみれば、それでいい。炸裂し、破壊したのはデブリの群れ。砕けた岩石やらが《ギラ・ドーガ》に襲い掛かっていくのを見届けるまでもなく、N-B.R.Dの砲口を迸らせる。《ゲルググ》を屠殺したのと同じ氷柱の光軸がデブリを貫き、《ガザ・C》の胴体部を貫く―――撃破、2。残敵、2。
 クレイの意識は即座に手前の《ギラ・ドーガ》へ。《Mk-V》目がけて機関砲の掃射を放ちながら、右方の《ギラ・ドーガ》が左方の《ギラ・ドーガ》との距離を詰める。ぶつ切りの光軸を躱しながら、クレイの視線は瞬間右方のディスプレイへ―――。
 エネルギーリチャージまで、あと10数秒。まだ試作品、という意識を再認―――。
 耳朶を叩く警報音。
 《Mk-V》に機関砲の砲撃を浴びせる《ギラ・ドーガ》とは異なる《ギラ・ドーガ》がバーニアを爆発させ、猪突する。
 シールドビームキャノンの砲撃をするりと躱した《ギラ・ドーガ》がビームサーベルを引き抜く。
 舌打ち。
 流石に、難易度は最高レベルのことだけはある―――焦りが網膜を掠める。されど、それに囚われることはなかった。即座にバックパックのビームキャノンを指向。脇下からビーム砲の口を展開すると同時に、クレイはまだ人生何度目かのシステムを起動させた。
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