6話
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け止め、シールド前面の爆薬が作動した。衝撃と共に閃光が迸るがクレイは平然とそれを無視。残りの指向性爆薬の数が2であることを確認すると、眼前で確かに動揺を見せる《リゼル》めがけて右腕に保持した長柄の武装のビーム刃を発振させた。
シールド懸架時は折りたたまれていたそれが展開、片刃の斧状にメガ粒子を、そして柄の先端部分からもビーム刃を発振させたそれ―――ハイパービームジャベリンの爆発的な閃光が発振されると、クレイは振り上げる要領でそのビームジャベリンを《リゼル》の胴に狙いを合わせた。
残光の尾を引いたメガ粒子の刃が空を焼く。咄嗟に防御のビームサーベルでその一撃を受け止め、干渉光が爆ぜる。このまま押し切る―――クレイの思考とは裏腹に、しかし決然と瞳を光らせた《リゼル》がバーニアを爆発させた。超至近での加速―――体当たりと理解したクレイが咄嗟に《Mk-V》に回避挙動を取らせたものの、遅すぎる反応だった。虚位に潜り込むようにして決行された体当たりがもろに直撃。数十トンある鉄塊が衝突し、その衝撃でシートの上で跳ねながらも、クレイは冷静だった。コロニーの大地に吸い寄せられながらもバーニアを焚き、減速しながらもビームカノンを指向。《リゼル》が左腕のビームキャノンを指向する隙を与えず、立て続けに2射放つ。正確でこそなかったが、それでも直撃コースに放ったメガ粒子の光軸を慌てて回避する《リゼル》―――だが、クレイは追い打ちをかけるように鳴る接近警報に舌打ちした。
11時の方角から敵機―――《リゼル》1。激動の視界の中で、その露軍迷彩と呼ばれる青と明青でカラーリングされた2つ目のMSがビームライフルをクレイに指向するのを知覚し、
ぞっとしたクレイは歯を食いしばった。
穿たれた光軸をクレイは寸前でシールドを掲げる。直撃しな、クレイはけたましい音が鳴るのを聞いた。爆薬が起動する音に混じり、クラッシャブルストラクチャーと爆砕ボルトが起動する警告音が鼓膜を刺す。金属が破砕する甲高く鈍い音が視界を掠め、衝撃がクレイの身体を無思慮に打ち付ける。
シールドの対ビーム被膜が擦り切れ、不要と判断したシールドを切り離したのだ。
もう受けられない―――全身の毛孔が震える感触を味わいながらも分析するクレイの脳内で、無線通信が開く音がのたうった。
(やっぱお前はそう簡単にやらせてはくれないよな!)
通信ウィンドウが立ち上がり、見知った顔―――何度も、厭と言うほど相対した顔がクレイの前で鋭い笑みを浮かべた。
視界の中で、蒼で塗られた《リゼル》がビームライフルを懸架し、サーベルを引き抜く。
神裂攸人―――何度とも刃を交えた相手。
いつだって勝てなかった相手。
逡巡の後、クレイも乾いた唇を舐めた。
「当たり前だろ―――お前の良いようにはさせないんだからな!」
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