6話
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イフルを薙ぎ払う隙を突き、《Mk-V》はバックパックからサーベルを引き抜いた。
Iフィールドの力場を利用し、メガ粒子を刃状に形成する―――言わばそれは、蛇口に風船をかぶせたようなものだ。
通常の物より一際大型のサーベルグリップから大出力のメガ粒子の刃を形成。力場が固定され、完全に剣と化すのを確認すると、コクピット内のフットペダルを踏み込んだ。
炎を焚いた巨躯が加速し、巨体に不似合な速度で相対距離を皆無にする。
クロスレンジ内。照準レティクルが近接戦闘用に切り替わり、がら空きになった胴体目がけてビームサーベルを振り下ろした。
間に合わない―――クレイの予測は、しかしあっさりと破られた。逆噴射のバーニアを噴射と同時にビームライフルを破棄、素早くサーベルを抜いた《リゼル》は、機械がやっているとは思えないほどの流麗な動作でもって、《Mk-V》の光刃に合わせるようにして発振した蒼の刃を掬い上げる。接触し、Iフィールドが干渉する日輪の如き閃光が迸り、防眩フィルターでも殺しきれない光がクレイの視界を刺した。
(《ガンダムMk-V》のパイロット、例の新人君だな?)
HUDに通信ウィンドウが立ち上がり、見知った顔が映る。眼前で切り結ぶ《リゼル》のパイロット―――ヴィルケイ・エコネ少尉の、品位に欠けた品性を湛えた笑みがクレイを挑発する。
「エコネ少尉!? 演習中の通信は―――」
(堅いこと言うなよ、俺とおまえの仲だろうが。さぁ、俺と踊ろうぜ!)
バーニアを逆噴射した《リゼル》が鍔迫り合いから抜け出し、上空に退避すると同時に左腕のシールドビームキャノンを指向する様を認識―――刹那の逡巡と共に、意を決したクレイはフットペダルを踏み込んだ。
サーベルの発振を抑え バックパックに納刀。続いて流れるようにG.A.W.S-82の裏に装備してあった武装を引き抜く。
《リゼル》のビームキャノンが咆哮を上げる。ビームライフルのソレに比べれば出力こそ劣るものの、数千度に達するメガ粒子の塊はガンダリウムコンポジットの身体を容易に貫き得る―――が、クレイは臆せずその閃光に猪突した。全身に装備された姿勢制御バーニアを駆使し、迫りくる光軸を紙一重でいなす。高温で機体表面が焦げる感触すら味わった。
ぎょっと身動ぎする《リゼル》。
相対距離は寸前。
沸騰寸前の脳髄が獲物を見定める―――だが、冷徹に本命は別と理解する脳髄が《Mk-V》に胸部コクピットブロックにシールドを掲げるのと、攻撃警報が鳴り響いたのは同時だった。視界の隅で桃色の閃光が閃き、漆黒の《Mk-V》目がけて灼熱の光軸が屹立する。必中の技量によって放たれたメガ粒子の閃光は、確かに《Mk-V》を一撃で屠殺するはずだった―――が、クレイに意志によってせりあがった左腕のシールドがその閃光を受
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